撤回(読み)テッカイ

  • てっかい ‥クヮイ
  • てっかい〔クワイ〕

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民法上は、意思表示をなした者が、その意思表示の効果を将来に向かって消滅させることをいう。一般に意思表示は、相手方に到達することによって効力を生ずるので、到達するまでは撤回できる。撤回は、一方的意思表示によってなされる点で、取消しと類似しているが、両者は次の点で異なっている。すなわち、取消しは、すでに発生した行為の効力を、一定の取消原因(制限行為能力、詐欺・強迫)のあるときに限り、過去にさかのぼって法律効果を消滅させるのに対し、撤回は、自己がなした行為の効力が発生しないことを欲して、意思表示の効果を将来に向かって消滅させるにすぎない。民法典には、撤回という用語は用いられていないが、取消しという用語が使用されている場合であっても、撤回の意味に解すべき場合が少なくない。たとえば、営業許可の取消し(民法6条2項)、無権代理行為の取消し(同法115条)などの場合である。

[竹内俊雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 一度出したものを取り下げること。言い出した事柄を後になって引っ込めること。
※伊藤特派全権大使復命書附属書類(1885)北京晤談「時宜に仍り其兵員を減じ或は撤回する事、我国の酌定便宜に任すなり」
※三四郎(1908)〈夏目漱石〉六「三四郎は此問を急に撤回(テックヮイ)したくなった」 〔清史稿‐交通志・四・郵政〕

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