アンドロマケ(英語表記)Andromachē

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンドロマケ」の意味・わかりやすい解説

アンドロマケ
Andromachē

ギリシア神話の人物。プリアモス王の長子で,トロイ戦争におけるトロイ方の総大将であったヘクトルの妻となり,アステュアナクスを生んだが,夫はアキレウスに打取られて戦死したうえに,トロイ落城後,アステュアナクスもギリシア軍に惨殺され,彼女は戦利品としてアキレウスの息子ネオプトレモスの手に落ち,その妻とならねばならなかった。この結婚で3人の息子を生んだあと,ネオプトレモスが死ぬと,彼女はヘクトルの弟ヘレノスと再婚し,ともにエピロスを支配した。彼の死後,息子のペルガモスとともに再び小アジアのミュシアに行き,そこにペルガモンの町を建設したという。

アンドロマケ
Andromachē

ギリシアのエウリピデスの悲劇。ペロポネソス戦争初期 (前 420年代) の作。トロイの英雄ヘクトルの妻アンドロマケは,トロイ落城後アキレウスの子でテッサリア王のネオプトレモスの侍妾となって1子をもうけた。正室ヘルミオネは父のスパルタメネラオスとはかってアンドロマケ母子を殺そうとするが,ネオプトレモスの祖父ペレウスにはばまれる。一方,ヘルミオネの前の婚約者で従兄オレステスデルフォイでネオプトレモスを殺して,ヘルミオネを奪い去る。作者はメネラオス,オレステス,ヘルミオネの3人のペロポネソス人を悪玉として描き,当時のアテネ人一般のスパルタに対する敵対感情を代弁している。

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