ウクライナのオデッサ州南端,ドナウ川の分流の北岸(黒海から80km上流),ルーマニアとの国境に位置する港市。人口9万5100(1991)。食品工業(缶詰,食肉加工,乳製品,ブドウ酒など),水産業が発達しており,海洋からの船舶の航行が可能で船舶修理工場がある。12世紀にジェノバの要塞がおかれ,16世紀にはオスマン・トルコの支配下に入りその要塞がおかれた。18~19世紀にはロシアとトルコの間での争奪戦の対象となり,20世紀に入ってからはロシア,ソ連邦とルーマニアに交互に領有されたという複雑な歴史をもつ。1768-74,1787-91,1806-12,1877-78年の4度にわたる露土戦争で4度ともロシアが占領し,4度目に最終的にロシア領とされた。ロシア革命の際にルーマニアがベッサラビアの一部として奪取(1918),1940年にはソ連が強制的に割譲させ,独ソ戦期のドイツ・ルーマニア軍の支配(1941-44)をへて現在に至る。
執筆者:青木 節也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報