ドナウデルタ

デジタル大辞泉 「ドナウデルタ」の意味・読み・例文・類語

ドナウ‐デルタ(Delta Dunării)

ルーマニア東部黒海に注ぐドナウ川が形成する三角州。ドナウ川は河口付近で聖ゲオルゲ、スリナ、キリアという三つの分流になり、無数の湖沼が点在する広大な湿原を流れる。手つかずの自然が残るヨーロッパ最大の湿原であり、ペリカンハクチョウを含む約300種の鳥類カワウソオオカミイタチヤマネコなどの数十種の野生動物が生息する。貴重な野生動植物宝庫として知られ、1991年に世界遺産(自然遺産)に登録された。主な観光拠点は三角州の玄関口にあたる都市トゥルチャ、および黒海沿岸のスリナ。ドナウ川三角州。

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世界遺産詳解 「ドナウデルタ」の解説

ドナウデルタ【ドナウ-デルタ】

1991年に登録された世界遺産(自然遺産)で、ルーマニア東部、黒海沿岸のトゥルチェア県にある大湿地帯。全長2858kmのドナウ川は、アルプス山脈とドイツの山岳地帯に源流を持ち、東欧の8ヵ国を貫流し、ルーマニアで黒海に流れ込む。この最終地が河口に広がるドナウ・デルタ(ドナウ川三角州)である。6792km2の広大なドナウ・デルタには、聖ゲオルゲ川、スリナ川、キリア川の3つの支流が流れ、さらに多数の小川がデルタを、アシの生い茂る地域、湖や沼地、森林などに分けている。ここには、チョウザメカワカマス、コイ、ナマズなど100種以上の魚類モモイロペリカン、ハクチョウ、ウミウ、カモメなど約300種の鳥類、カワウソ、ミンク、ヤマネコ、シカ、イノシシなど数十種の野生動物をはじめ、固有の動物も生息している。このように美しい自然があり、貴重な動植物の生息地を含んでいることが評価され、世界遺産に登録された。◇英名はDanube Delta

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百科事典マイペディア 「ドナウデルタ」の意味・わかりやすい解説

ドナウ・デルタ

ヨーロッパの東部を東西に貫流する大河ドナウ川が,黒海に注ぐ所にひろがる広大な三角州(デルタ)。ルーマニアの東部,ウクライナと国境を接する所に位置する。無数に分流する川と湖沼があるヨーロッパ最大の湿地帯で,300種を越す鳥類をはじめ多種多様な魚類や野生動物が生息しており,ラムサール条約の登録湿地にもなっている。1991年世界自然遺産に登録。

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