日本大百科全書(ニッポニカ) 「イットロ蛍石」の意味・わかりやすい解説
イットロ蛍石
いっとろほたるいし
yttrofluorite
ハロゲン化鉱物の一つ。蛍石(CaF2)のCa(カルシウム)の一部をイットリウム(Y)が置換している鉱物。原子価の調整のため、通常の蛍石の原子配列上の空所に過剰のフッ素(F)が入ったもので、独立種として取り扱われている。過剰なフッ素の存在のため、蛍石の原子配列の限界に見合う量までしかイットリウムは入りえない。理論上の限界を示す化学式はCa3YF9であるが、これに近い化学組成領域でCa14Y5F43という三方晶系の鉱物(鉱物名トベイト石tveitite)が存在する。ある種の花崗(かこう)岩質ペグマタイト中に産し、外観的には通常の蛍石と識別できないが、比重はやや大きい。希土類の配分形式はほぼ一定している。2014年の時点で、正式鉱物名としては承認されていない。命名は成分にちなむ。
[加藤 昭 2015年12月14日]
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