改訂新版 世界大百科事典 「イヌナズナ」の意味・わかりやすい解説
イヌナズナ
Draba nemorosa L.
畑や空地に生えるアブラナ科の小型の越年草。茎は高さ15~30cm,基部から分枝する。根生葉は楕円形でロゼットを作り,茎に出る葉は卵形で不ぞろいな小型の鋸歯があり,茎とともに星状に分枝した毛がある。花は4~5月ごろ茎の上部に多数つき,小型でナズナに似るが黄色である。果実はやや扁平な長楕円形で長さ6~8mm,10~14mmの長い柄がある。北半球に広く分布する。
イヌナズナ属Drabaはアフリカ南部を除く全世界に分布し,300種近い種類がある。特に北半球の高山や亜寒帯には各地に多くの固有種を産し,日本の高山植物として知られているものには,クモマナズナ,トガクシナズナ,ヤツガタケナズナ,シロウマナズナ,ナンブイヌナズナ,エゾイヌナズナなどがある。小型の草本植物で,小さな花をむらがりつけるので,ロックガーデンなどで観賞用に栽培される種がある。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報