日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィーザー」の意味・わかりやすい解説
ウィーザー
うぃーざー
Friedrich von Wieser
(1851―1926)
オーストリア学派の経済学者。ウィーンに生まれ、初めはウィーン大学で法律学を修めたが、のちにハイデルベルク、ライプツィヒ、イエナの各大学で経済学を学んだ。プラハ大学教授やウィーン大学教授を歴任し、第一次世界大戦中は商務大臣に就任したこともある。メンガーの後継者としてその理論の発展に努め、限界効用理論を生産要素の価格の決定にまで拡張して帰属理論による分配論を展開し、価格理論と分配理論を関連づけた。またメンガーの主観価値論を貨幣論へ適用し、所得数量説を提唱した。さらに彼は、効用と社会勢力の関連や経済の一般的意味と社会勢力との関係の分析にも深い関心を示して、晩年には主として社会学の研究に力を注いだ。主要な著作には『経済価値の起源と主要法則』(1884)、『自然価値論』(1889)、『社会経済の理論』(1914)などがある。
[志田 明]