コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

帰属理論 きぞくりろんtheory of imputation; Zurechnungstheorie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

帰属理論
きぞくりろん
theory of imputation; Zurechnungstheorie

C.メンガー,F.ウィーザー,E.ベーム=バウェルクらによって展開された生産要素や生産財の価値 (格) 決定理論限界効用価値説によれば,消費財の価値は消費者の欲望を満足させる度合いであるその限界効用により決る。消費者が直接使用しない生産要素や生産財 (高次財) は,それ自体としては価値をもたないことになるが,このような財の価値はそれを用いて生産される消費財 (低次財) の価値を,間接的に帰属させることにより決定されるというもの。メンガーがすでに説いていた考えを,法学の分野から「帰属」 Zurechnungという概念を援用して帰属理論として定式化したのはウィーザーである。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

百科事典マイペディアの解説

帰属理論【きぞくりろん】

オーストリア学派の価値理論。財の価値を決める最後の基準は消費者としての個人の主観的な評価であるとするが,直接消費者の欲望をみたさない生産要素や生産財は,それによって生産される消費財の予想価値の帰属によって価値を決定されると説明する。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

帰属理論

成功や失敗をした場合、その原因をどこに求めるかについての理論。原因の所在(自分の内部か外部か)と安定性(変更可能かどうか)からなる4つのパターンでとらえる考え方で、心理学者のワイナーによって提唱された。 1)課題そのものがやさしかったから、または難しかったから(外部に帰属/安定) 2)運があったから、なかったから(外部に帰属/不安定) 3)能力があったから、なかったから(内部に帰属/安定) 4)努力したから、しなかったから(内部に帰属/不安定) なお、原因を自分の努力に帰属させる人は、内発的動機づけが高く、仮に失敗した場合でも、目標へ向けて再度挑戦していく意欲を持てるという。

出典|ナビゲートナビゲート ビジネス基本用語集について | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

きぞくりろん【帰属理論 theory of imputation】

帰属理論は,19世紀の終りころのC.メンガーF.vonウィーザーなどのいわゆるオーストリア学派の経済学の基礎的な考え方を定式化したものである。さまざまな生産過程を通じて生産される財の価値は,それが消費されるときに生ずる経済主体の主観的効用によって決まってくるというのがオーストリア学派の考え方であり,また当時の限界効用学説の教えるところでもあった。このように,財の価値が,それが最終的に消費されるときに生ずる経済主体の主観的価値判断によって決まると考えるとき,このような財の生産に用いられるさまざまな生産要素,労働・資本・原材料などの価値をどのように評価するかという問題が起きてくる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

きぞくりろん【帰属理論】

生産要素や中間財など生産財の価値は、それが生産する消費財の価値によって決まるとするオーストリア学派の理論。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

帰属理論
きぞくりろん
Zurechnungstheorieドイツ語

主観価値説においては、消費財の価値は消費者がそれに対して感ずる効用(とくに限界効用)によって決定されるとするが、消費者が効用を感じない生産財の価値は決定できない。そこで生産財の価値を、それが生産する消費財の主観価値の反映として、つまり消費財の価値を帰属させることによって説明しようとするのが帰属理論である。オーストリア学派のC・メンガーによって創始された。
 この理論は、ある生産物の生産において生産財が互いに代替的(置き換えても使えること)なときは問題ないが、生産財が互いに補完的(置き換えることができず、結合してのみ使えること)なときの説明が困難である。そこでベーム・バベルクは、ある生産財を取り去ったためにおこる生産物価値の喪失をもって当生産財の価値とする喪失原理をつくり、またF・ウィーザーは、二つの生産財が二つの異なる消費財をつくる場合に、これを二つの方程式にして同時に解くという形の方程式法を提唱した。これらの理論は、やがて分配の限界生産力説に発展した。この理論に対しては、たとえば、帰属理論が貫徹すれば、それは等価値の生産財から等価値の生産物が生まれるにすぎないことになり、剰余の説明がまったくつかないなど、マルクス経済学からの批判がある。[一杉哲也]
『C・メンガー著、安井琢磨訳『国民経済学原理』(1937・日本評論社) ▽E・v・ボェーム・バベルク著、長守善訳『経済的財価値の基礎理論』(岩波文庫)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例