ウェストファリア王国(読み)うぇすとふぁりあおうこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェストファリア王国」の意味・わかりやすい解説

ウェストファリア王国
うぇすとふぁりあおうこく

ナポレオン1世のヨーロッパ大陸制覇の結果、ドイツに1807年から13年まで成立した王国ナポレオンは、プロイセンを敗北させたのち、そのエルベ川西方の領土、ヘッセ・カッセルブラウンシュワイクハノーバーなどをあわせて、弟ジェロームを王とした。ウェストファリアWestphaliaはごく一部が含まれるにすぎず、首都はカッセル。フランスに類似した統治が敷かれたが、主として現地のドイツ人が衝にあたり、ライン同盟に加入していた。ジェロームは、兄の期待に反して無能であったうえに、フランスによる徴兵や、大陸封鎖による経済事情の悪化が住民を苦しめ、民心は離反した。1813年、ナポレオンを敗北させた連合軍に占領され、事実上、滅亡した。

[山上正太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェストファリア王国」の意味・わかりやすい解説

ウェストファリア王国
ウェストファリアおうこく
Royaume de Westphalie; Königreich Westfahlen

1807年にナポレオン1世が,エルベ川西方のウェストファリア地方に形成した臣従国家。弟のジェローム・ボナパルト王位につき,首府をカッセルにおいた。その領域はヘッセン選帝侯国,ハノーバー公国,ブラウンシュワイク公国,およびプロシアがこの地方に獲得していたミンデン,パーダーボルンなどの諸地域から成る。完全にフランスに模した行政がしかれ,住民は重税に苦しんだ。 13年の解放戦争で消滅した。

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