ライン同盟(読み)ラインどうめい(英語表記)Rheinbund ドイツ語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライン同盟」の意味・わかりやすい解説

ライン同盟
ラインどうめい
Rheinbund

(1) 第1次 三十年戦争終了後の 1658~67年ドイツの新・旧両教徒の有力諸侯が結んだ同盟ウェストファリアの講和後,フランスとスペインはなお交戦中であったため,自己の領域を守り,同講和を執行するために結成された。 (2) 第2次  1806~13年ナポレオン1世によって組織されたドイツ西部諸邦の連合体。 05年アウステルリッツの戦いでオーストリア,ロシア,プロシアの連合軍に圧勝したナポレオンは,ドイツにプロシア,オーストリアに対抗する勢力をつくるため,この同盟を結成し,各邦君主の国家主権を認めつつみずからその保護者 (プロテクトール) に就任。この結果,神聖ローマ帝国消滅した。最初バイエルン,ウュルテンベルク,バーデン,さらに 07年のティルジット条約後にウェストファリアを加え,プロシア,オーストリア以外の全領邦を参加させた。なおその際に多くの小領邦,自治都市をそれぞれの諸侯に併合させた。フランクフルトアムマインに同盟議会がおかれたが1度も開かれず,実権はナポレオンが握り,同盟は最大6万 3000の兵力を彼に供出することを定められた。ナポレオンの没落とともに解体。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライン同盟」の意味・わかりやすい解説

ライン同盟
らいんどうめい
Rheinbund ドイツ語

1806年7月、ナポレオン1世の保護下で結ばれたライン流域の南西ドイツ諸国の同盟。ライン連邦ともよばれる。加盟国は最初16か国で、国土拡大、王国(バイエルン、ウュルテンベルク)や大公国(バーデンなど)への昇格と引き換えにナポレオンに6万3000の兵とその統帥権を与え、同年8月1日神聖ローマ帝国からの離脱を宣言した。同月6日の同盟成立は帝国の崩壊をもたらし、ナポレオンにドイツ支配の支柱を与えたが、同時に南西ドイツの多数の小国家の消滅によりドイツ統一への一歩前進をも意味した。同盟は11年までに直接統治地域とプロイセン、オーストリア2国を除く全地域に拡大され、多くの国でナポレオン法典導入や改革も行われたが、13年の解放戦争により消滅した。

[岡崎勝世]

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