改訂新版 世界大百科事典 「ウォーラス」の意味・わかりやすい解説
ウォーラス
Graham Wallas
生没年:1858-1932
イギリスの社会学者,政治学者。フェビアン協会で活躍,1914-23年ロンドン大学教授。1908年に発表した《政治における人間性》は,従来の法律論的・機構論的政治学から離れて,政治学に心理学的方法を導入した嚆矢(こうし)として有名である。ウォーラス以後,政治は人間の無意識の部分とも結びつけられるようになり,彼の視角は,C.E.メリアム,H.D.ラスウェルを中心とするアメリカの行動論的政治学に大きな影響を与えた。またテクノロジーの発達によって環境の規模が世界的に拡大したとする彼の《大社会The Great Society》(1914)は,今日いわれている大衆社会状況を早い時期に的確に指摘している。
執筆者:岡村 忠夫
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