日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウマヅラハギ」の意味・わかりやすい解説
ウマヅラハギ
うまづらはぎ / 馬面剥
[学] Navodon modestus
硬骨魚綱フグ目カワハギ科に属する海水魚。北海道以南の日本各地と黄海、東シナ海に分布する。体は長楕円(ちょうだえん)形で側扁(そくへん)する。背びれの棘(とげ)は目の中央より後ろに位置する。腹びれ後端の突起は不動性。体色は灰色で、生時には体側に暗色斑(あんしきはん)が散在する。すべてのひれが緑青色を呈する。体の表面は微小な鱗(うろこ)に覆われる。吻(ふん)が長いのがウマを連想させ、名前の由来になっている。全長は30センチメートルに達する。雄の吻部背縁は突出し、雌では直線的であり、また体高は雌のほうが雄より大きいので、雌雄の識別は容易である。沿岸に生息し大きな群れをつくり、5~7月に産卵する。1960年代前半から70年代前半にかけて異常繁殖し、各地の定置網漁業者が処理に困るほどであったが、近年漁獲量はふたたび安定してきた。肉は皮をはいで干物にし、土産(みやげ)物として販売されている。味はカワハギより若干劣るが美味である。
[松浦啓一]