日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウミイグアナ」の意味・わかりやすい解説
ウミイグアナ
うみいぐあな
marine iguana
[学] Amblyrhynchus cristatus
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目イグアナ科のトカゲ。別名ウミトカゲ。エクアドル領ガラパゴス諸島に分布する。全長約1.5メートル。尾は長くて側扁(そくへん)し遊泳に適している。奇異な容貌(ようぼう)にもかかわらず性質はおとなしく、海岸の岩礁に重なり合うように群生している。トカゲでは、海に入ったり海藻を常食としたりする唯一の種で、引き潮時に海を泳ぎ、岩に付着した海藻を食べるが、そのとき海中に潜って捜すこともある。餌(えさ)とともに体内に入った余分な塩分は、鼻孔に開いた塩腺(えんせん)によって排出される。人が近寄ると、鼻孔にたまった海水と塩腺の分泌液を吹き出して脅かす。尾の丸いガラパゴスリクイグアナConolophus subcristatusは内陸部に生息し、サボテンなどを生食する。
[松井孝爾]