ウメバチソウ(読み)うめばちそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウメバチソウ」の意味・わかりやすい解説

ウメバチソウ
うめばちそう / 梅鉢草
[学] Parnassia palustris L.

ユキノシタ科(APG分類:ニシキギ科)の多年草。数枚の根出葉には長い柄(え)があり、葉身は円心形で先がややとがり、掌状の脈がある。夏から秋にかけて、高さ10~45センチメートルの花茎が1本~数本直立し、先端に1個の白い花をつける。花茎の中部には1枚の無柄の葉があり、葉身の基部は多少茎を抱く。花は径2~2.5センチメートル、一見、梅の花に似る。緑色の萼(がく)裂片と白色の花弁は5枚、花弁には淡緑色の平行脈が数本ある。雄しべは10本。そのうち花弁と向かい合う5本は仮雄蕊(かゆうずい)になり、上部が多数糸状に分裂して、先端には球状の黄色の腺体(せんたい)がある。子房は卵球形で上位、花柱はほとんど発達せず、子房の頂部に4分裂した柱頭がある。

 山地日当りのよい湿地に生え、高山に多く、日本全土および北半球の温帯寒帯に広く分布する。花の形が天満宮(てんまんぐう)の紋章梅鉢紋に似るのでこの名がつけられた。

[若林三千男 2020年2月17日]

 ウメバチソウはユキノシタ科、ウメバチソウ科を経て、現在はニシキギ科ウメバチソウ属として分類される。

[編集部 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウメバチソウ」の意味・わかりやすい解説

ウメバチソウ(梅鉢草)
ウメバチソウ
Parnassia palustris

ニシキギ科の多年草で,山地や高原の日当たりのよい湿地に生える。根茎は短く,長い葉柄をもつ根出葉を密につける。葉は径 1~3cmのハート形。8~10月頃,根茎から数本の花茎を出し,先端に 1個ずつ白い花をつける。花茎には無柄で卵形の茎葉が 1枚つく。花は萼片,花弁各 5枚,おしべ 5本,子房は球形で花柱は 4本に分かれる。花の形が梅鉢の紋に似ているのでこの名がある。近縁のものには,花弁の縁が糸状に深く裂けたシラヒゲソウ,高山帯に生えるやや小型のヒメウメバチソウなどがある。

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