ウラジロエノキ(読み)うらじろえのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラジロエノキ」の意味・わかりやすい解説

ウラジロエノキ
うらじろえのき / 裏白榎
[学] Trema orientalis (L.) Bl.

ニレ科(APG分類:アサ科)の常緑高木。枝は開出し、若枝には密に圧毛がある。葉は卵状狭長楕円(だえん)形ないし広披針(こうひしん)形で先はとがり、鈍い細鋸歯(さいきょし)があり、長さ7~15センチメートル、幅1.5~5センチメートル、基部はゆがんだ心臓形。裏面は絹毛状伏毛を密生して銀白色。花は集散状に生じ小形、単性、花被片(かひへん)は4、5枚。雄しべは4、5本、雌しべ1本、花柱は短く先端は2裂する。花期は長く3~9月。核果は卵球形黒色、径3~4ミリメートル。材は下駄(げた)やパルプ材に利用する。日当りのよい二次林中に生え、小笠原諸島、九州南部、沖縄、中国南部、インド、マレーシアオーストラリアに分布する。ウラジロエノキ属は熱帯ないし亜熱帯性森林の下層に多い木で、世界に約40種分布する。

[伊藤浩司 2019年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウラジロエノキ」の意味・わかりやすい解説

ウラジロエノキ(裏白榎)
ウラジロエノキ
Trema orientalis

ニレ科の常緑高木。東南アジア,オーストラリア,太平洋諸島にかけての熱帯,亜熱帯に広く分布する。伐採後の二次林に育つことが多い。日本では琉球列島,小笠原諸島および南九州の一部に生える。幹は灰褐色で高さ 10~15mになる。葉は互生し,柄は短い。葉身は長さ7~15cmの長卵形で先端はとがり基部はやや心形,縁に鋸歯があり,質は厚い。葉面,特に裏面に白い綿毛が密生し,白く見える。春から夏を通じて,葉腋小花を集めてつけ,径4~5mmの球形で黒熟する果実を結ぶ。

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