改訂新版 世界大百科事典 「ウラジロエノキ」の意味・わかりやすい解説
ウラジロエノキ (裏白榎)
Trema orientalis Blume
暖地の日当りの良い所に生えるニレ科の常緑高木で,葉はエノキに似るが,裏に伏毛が密生し,銀白色を呈する。高さは時に15mに達し,よく分枝して新枝には短い伏毛が密生する。葉は互生し,卵状長楕円形ないし広披針形で,長さ7~15cm,先端は長くとがり,基部は左右に多少ゆがんで3~5本の主脈を出し,縁に鈍い鋸歯があって質はやや厚い。3月から9月に,葉腋(ようえき)から長さ1.5~3cmの集散花序を出して,小さい花を多数つける。各花の花被片は黄緑色で5枚,おしべも5本,秋に径3~4mmの黒色核果を結ぶ。種子島以南琉球諸島,台湾,中国南部からインド,オーストラリアに至る熱帯・亜熱帯の向陽の山林・山野に生え,生育が速く,二次林をつくる。材は淡黄褐色で軽軟,建築・器具材などに用いられる。強靱な樹皮は縄,粗布および和紙の原料となり,またタンニンをとる。
執筆者:濱谷 稔夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報