改訂新版 世界大百科事典 「エリンバー」の意味・わかりやすい解説
エリンバー
Elinvar
エランバーともいう。室温付近での温度変化に対してヤング率がほぼ一定である性質(エリンバー効果)をもっている,Feを主とし,Ni≅36%,Cr≅12%,Mn1~2%の合金。普通の金属・合金はヤング率が温度上昇に伴って小さくなるので(温度係数は10⁻4/℃程度),ばね特性を利用する精密機器や標準の振動子への使用には不適当である。このため,これらの機器のばねにはエリンバーが用いられる。フランスのギヨームC.E.Guillaumeがインバーの研究中にヤング率の温度変化が0になるFe-Niの組成を発見,合金名はelastic invariableから名づけられた。エリンバー効果の原因は磁性によって説明される。
→磁性材料
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報