機械時計(読み)きかいどけい(英語表記)mechanical watch

日本大百科全書(ニッポニカ)「機械時計」の解説

機械時計
きかいどけい
mechanical watch
mechanical clock

時計は調速機、脱進機、伝達装置、動力装置、表示装置から構成されているが、これらの部分すべてが機械的であるものをいう。機械時計はすでに14世紀初めに存在してはいたが、17世紀にオランダのホイヘンスによる、振り子時計とひげぜんまいをもつてんぷ時計の発明によって近代時計への道が開かれたといえる。マリンクロノメーターmarine chronometer(航海用標準時計)の製作にみられる精度の追求、複雑装置の考案、懐中時計から腕時計への小型化、耐環境機能(防水、耐衝撃など)の付加と、機械時計は絶え間ない発展を遂げ、改良の余地の少ない製品とみられていた。しかし20世紀後半の電子時計、とくに1970年以降、精度、コスト、多機能化などに優れる水晶時計の出現によって、世界市場における機械時計のシェア(占拠率)は毎年低下し、1981年にはウォッチ、クロックともに50%を割り、2010年にはウォッチはわずか2%(クロックもほんのわずか)と推定されている。今後は超高級工芸品として、または電池補給のつかない地域などでの消費に限定されよう。

[元持邦之]


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百科事典マイペディア「機械時計」の解説

機械時計【きかいどけい】

重力またはぜんまいを動力とし,振子またはひげぜんまいと,てんぷ系の振動で制御される脱進機をもつ時計。棒てんぷによるものが14世紀ごろから使用されたが,17世紀半ばオランダのホイヘンスが振子,てんぷの使用を始め,精度が飛躍的に向上,以後種々の改良を経て代表的な実用時計となった。腕時計,懐中時計,振子時計などがあるが,1970年代の水晶時計クォーツ)の普及と,全電子化によるデジタル時計の急速な発達で衰退した。

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世界大百科事典内の機械時計の言及

【機械】より

…大型の弩は歯車やカムを用いて弦を引きしぼり最大400mの射程をもつものもあった。 ついで重要な意義をもつのは精密機械で,その代表は機械時計である。ウィトルウィウスに出てくるのは水時計や日時計であるが,機械時計の主要素である歯車装置は彼の製粉機の記述に出てくるし,歯車の発達は早かったうえにしだいに精巧になった。…

【時間】より

…個々人の彼岸における救いは現世における行動によって定まるという死生観の成立がこの二つの時間の拮抗の根底にあったから,両者の拮抗は西欧における人間の日常生活のみならず思想の次元にも決定的な影響を与え,西欧文明の根幹を形づくることになった。特に歯車時計(機械時計)の成立による厳密で合理的な時間の計測は,労働の組織化のはしりでもあり,その意味で近代社会の原理を先取りするものでもあった。また歯車時計に体現される自動装置は産業革命におけるあらゆる自動機械の先駆けであり,その点でも11,12世紀における時間意識の転換は,西欧のみならず近代における全世界の時間意識を規定してゆく大きな動きであった。…

【時刻】より

…時法はメソポタミアでは1日12時間,エジプトでは24時間を使用していたが,天文学者は定時法,一般民衆は不定時法によっていたらしい。日時計,水時計はそれぞれ難点があるのでこれに代わるものとして考案されたのが重力を動力とする機械時計である。これもいつごろ作製されたのかはっきりわからないが,13世紀中ごろには使用されていた。…

【時計】より

…ウォッチは腕時計や提げ時計(懐中時計)のように身につける時計をいい,日本ではこれを携帯時計と訳しており,一方,クロックは置時計,掛時計などと呼んでいる。 日本に初めて機械時計が渡来したのは,1551年(天文20),スペインの宣教師ザビエルによって大内義隆に献上されたのが最初とされている。時打ち装置をもつこの時代の時計は自鳴鐘と呼ばれた。…

※「機械時計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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