日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤング率」の意味・わかりやすい解説
ヤング率
やんぐりつ
固体を一つの方向に張力を加えて引き伸ばした(ただし側面は自由で、断面積は縮む)ときの弾性率をヤング率、あるいは伸び弾性率という。イギリスの物理学者T・ヤングによって導入された。 のように力をF、断面積をAとすると張力はT=F/Aである。また、長さlがΔlだけ伸びたとすると、伸びひずみはS=Δl/lである。ヤング率EはE=T/Sで表される。
物体を引き伸ばすとき、物体の幅は収縮し(ポアソン比)、物体は形が変わると同時に体積も変わる。したがってヤング率はずり弾性率Gと体積弾性率Kとの組合せで、
E=9KG/(3K+G)
の関係がある。ゴムのような柔らかい物体ではGはKよりも非常に小さい。したがって近似的にE=3Gとしてよい。ヤング率は、物体を引き伸ばすか、たわみを与えて、加えた力と変形量から測定する。
[和田八三久・西 敏夫]