日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルバン」の意味・わかりやすい解説
エルバン
えるばん
Auguste Herbin
(1882―1960)
フランスの画家。北フランスのアラス近郊に生まれ、リールおよびパリの美術学校に学ぶ。キュビスムの運動に参加するが、形態の単純化、構成の厳密性を推し進める彼の絵画は、1917年ごろ抽象絵画へと発展する。1927年ごろ一時期、具象に戻ったあと、完全な抽象へ移行、1931年「抽象・創造(アプストラクシオン・クレアシオン)」の創設に参加する。最初は曲線を主体とした動感を表現し、やがて円、方形、三角形の平面の組合せ、補色理論による純粋色の対比によって、厳密な幾何学的抽象の世界をつくる。フランス幾何学的抽象の原点であるとともに、オプティカル・アートなどへの道を開いた。
[中山公男]