エンタシス(読み)えんたしす(英語表記)entasis

翻訳|entasis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンタシス」の意味・わかりやすい解説

エンタシス
えんたしす
entasis

緊張、張りなどを意味するギリシア語に由来する建築用語。ギリシア建築の柱身に付されたわずかな膨らみ、胴張り。視覚的には柱身にエンタシスを付すことによって柱の硬直さを和らげる一方、建築上部重圧に対して緊張感を与える。ギリシア建築ではドーリス式の柱に顕著に表現され、イオニア式コリント式の柱身にもわずかながら認められる。エンタシスはその後ローマ建築やルネサンス建築の柱にもしばしば採用されているが、わが国の建築では法隆寺南大門や唐招提寺(とうしょうだいじ)金堂などの木柱にその例がみられる。

[前田正明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンタシス」の意味・わかりやすい解説

エンタシス
entasis

建築用語。円柱の柱身や塔などに付されたふくらみ。ギリシアのアルカイック期のドーリス式円柱に特に顕著で,柱身のなかほどから上部にかけてふくらみのある曲線を示す。柱が荷重を支える力を表現すると同時に,外光によって柱の中央部がくびれて見えるのを防ぐとされる。前5~4世紀になり,次第に少くなる。ゴシックの塔やロマネスクの柱身にもみられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android