日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーデルマン」の意味・わかりやすい解説
エーデルマン(Gerald Maurice Edelman)
えーでるまん
Gerald Maurice Edelman
(1929―2014)
アメリカの生化学者。ニューヨーク市に生まれる。ウルシナス大学を卒業後、ペンシルベニア大学医学部に進み、1954年医学博士号を取得、同年マサチューセッツ総合病院に勤務したのち、1955年に陸軍医療部隊の士官としてパリに駐在した。1957年帰国し、ロックフェラー研究所(現、ロックフェラー大学)に入り、1960年そこで理学博士号を取得。1963年ロックフェラー大学準教授、1966年教授となった。1972年にはメルボルン医療研究所の客員教授を務める。
ヒトの血液や体液中にある抗体の免疫グロブリン(Ig)に関する研究を行い、その化学構造の解析を行った。その結果、Igは2種類のペプチド鎖(H鎖、L鎖)を基本構造としていることを発見、さらにそのアミノ酸配列を決定した。この発見は、免疫現象の研究上で重要な成果であると評価され、1972年「抗体の化学構造に関する発見」により、イギリスのR・R・ポーターとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部]
『J・エデルマン、J・M・チャップマン著、坂本清訳『目でみる生化学』(1981・三共出版)』
エーデルマン(Otto Edelmann)
えーでるまん
Otto Edelmann
(1917―2003)
オーストリアのバス・バリトン歌手。ウィーン近郊のブリュンで生まれ、ウィーン音楽アカデミーに学んだ。1937年にデビュー。ニュルンベルク歌劇場で活躍した後、1949年にウィーン国立歌劇場所属となる。1951年、第二次世界大戦後初のバイロイト音楽祭で『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のハンス・ザックス役を務め、同じ役で1954年にはメトロポリタン歌劇場にデビュー。1960年には改装後のザルツブルク祝祭大劇場の初公演に加わり、カラヤンの指揮でリヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』のオックス男爵を歌った。この役は40ほどのオペラ・レパートリーをもつ彼にとって最高の当り役となった。1976年に引退、その後はウィーンで教育活動を続けた。
[美山良夫]
『ウィーン国立歌劇場友の会編、香川檀訳『ウィーン・オペラの名歌手(1)』(1988・音楽之友社)』