改訂新版 世界大百科事典 「オカヒジキ」の意味・わかりやすい解説
オカヒジキ
Salsola komarovii Iljin
古くから食用野草として利用されているアカザ科の一年草。緑色の茎に円柱形で多肉の葉が互生し,海藻のヒジキ,ミルに似ているところから名がつき,オカミル,ミルナともいう。日本の至るところの海岸の砂地に自生し,また朝鮮,中国,シベリアからヨーロッパ南西部にも分布している。真夏には直径約1mの大株になり,葉腋(ようえき)に淡緑色の花をつける。秋には2枚のとげ状の苞に包まれた種子が一つあって果実となる。品種の分化はみられない。山形県特産の地方野菜で,県内陸部一帯に自給用として栽培されていたが,近年,出荷を目的に露地栽培に加えてビニルトンネル,ビニルハウスを利用した早出し栽培が行われている。生育初期の軟らかい葉と茎を摘んで食用にする。独特の風味,歯ざわりがあり,緑色を失わないようにさっとゆで,カラシあえ,酢みそあえにする。同じ科に属する食用野草にマツナがある。
執筆者:高橋 文次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報