オキザリス(読み)おきざりす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オキザリス」の意味・わかりやすい解説

オキザリス
おきざりす
[学] Oxalis

カタバミ科(APG分類:カタバミ科)の球根草。世界中に自生種があり、観賞用には熱帯アメリカ、アフリカ原産のものが十数種栽培されている。球根は匍匐(ほふく)性の根茎もしくは鱗茎(りんけい)。花は夜間や雨天曇天でしぼむので、できるだけ日当りのよい所で栽培する。寒さに弱い品種や秋咲き、冬咲き品種は温室やフレーム内で栽培するが、夏咲き品種は花壇にも植えられる。繁殖は分球による。オキザリスという属名は、酸を意味するギリシア語に由来し、茎葉をかむと酸っぱい汁が出ることからきている。

[平城好明 2020年5月19日]

種類

セルヌアO. pes-caprae L.(O. cernua Thunb.)は南アフリカのケープ原産で、春に約20センチメートルの花茎頂部に3~8個の黄色花をつける。秋に4、5号鉢に3球植えとし、フレーム内で栽培する。バリアビリスO. variabilis Jacq.はケープ原産で、11月から翌年の春まで、花径約4センチメートルの花を次々と開く。花色は桃、紅、白色の3種がある。9月に鉢植えしてフレーム内で栽培する。ブラジリエンシスO. brasiliensis Lodd.はブラジル原産で、寒さに比較的強く、露地植えも可能。秋に植えると5月ごろに1~2センチメートルの濃紫紅色花を開く。ヒルタO. hirta L.は南アフリカ原産の有茎種。秋に植え付け温室やフレーム内で栽培すると、11月から翌年の2月にかけて紅色花を開く。暖地では露地での越冬も可能。ボウイアーナO. bowieana Lodd.はケープ原産で、春に植え付けると、夏から秋にかけ花径2~3センチメートルの濃紅色花をつける。性質は強健で耐寒性も強い。マルチアーナO. debilis var. corymbosa (DC.) Lourteig(O. martiana Zucc.)は南アフリカ原産で、寒さに強く、春に植え付けると6~10月に桃色の小花を多数つける。ロバータO. lobata Simsはチリ原産で、寒さに強く、秋から翌年の春まで黄色花を開く。ディッペイO. deppei Lodd.はメキシコ原産で、小葉は4枚つき、その中央部に褐色の斑(ふ)が入る。

[平城好明 2020年5月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オキザリス」の意味・わかりやすい解説

オキザリス
Oxalis; lady's sorrel; wood sorrel

カタバミ科オキザリス (カタバミ) 属の総称。一年草,多年草,亜低木などさまざまな種数が,全世界に約 800種分布する。特にアフリカと中南米に多い。日本に自生する野草カタバミミヤマカタバミなども本属に含まれ,ムラサキカタバミのように南米から帰化し,雑草として広く定着しているものもある。花弁は5枚で基部は合着,葉はクローバーのような3小葉から,多数の小葉をつける掌状葉まである。しばしば地下に球根をもつ。直径2~3cmの桃色の花をつけるハナカタバミや,四つ葉のクローバーのような葉のオキザリス・デッペイ O.deppei,鮮かな黄花のオキザリス・ペスカプラエ O.pes-capraeなど,多くの種類が地植えや鉢植えで栽培されている。一般にじょうぶで,病虫害もなく育てやすい。十分な日照と水はけのよい土壌を好む。

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