オキザリス(読み)おきざりす

デジタル大辞泉 「オキザリス」の意味・読み・例文・類語

オキザリス(〈ラテン〉Oxalis)

カタバミ科オキザリス属の植物総称。特に園芸種をさし、花の色は黄・紫・桃色などがある。葉と花は、夜間あるいは雨天曇天のときに閉じる。名は、酸っぱいの意のギリシャ語に由来。 春》

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精選版 日本国語大辞典 「オキザリス」の意味・読み・例文・類語

オキザリス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] oxalis ) カタバミ科植物の属名。中央および南アメリカ南アフリカを主とした世界の熱帯、亜熱帯に分布し、八〇〇種ほど知られていて、観賞用に栽培されるものもある。日本には、カタバミ、ミヤマカタバミ、オオヤマカタバミなど七種類自生し、他に一〇種類以上が栽培されている。《 季語・春 》

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オキザリス」の意味・わかりやすい解説

オキザリス
おきざりす
[学] Oxalis

カタバミ科(APG分類:カタバミ科)の球根草。世界中に自生種があり、観賞用には熱帯アメリカ、アフリカ原産のものが十数種栽培されている。球根は匍匐(ほふく)性の根茎もしくは鱗茎(りんけい)。花は夜間や雨天、曇天でしぼむので、できるだけ日当りのよい所で栽培する。寒さに弱い品種や秋咲き、冬咲き品種は温室フレーム内で栽培するが、夏咲き品種は花壇にも植えられる。繁殖は分球による。オキザリスという属名は、酸を意味するギリシア語に由来し、茎葉をかむと酸っぱい汁が出ることからきている。

[平城好明 2020年5月19日]

種類

セルヌアO. pes-caprae L.(O. cernua Thunb.)は南アフリカのケープ原産で、春に約20センチメートルの花茎頂部に3~8個の黄色花をつける。秋に4、5号鉢に3球植えとし、フレーム内で栽培する。バリアビリスO. variabilis Jacq.はケープ原産で、11月から翌年の春まで、花径約4センチメートルの花を次々と開く。花色は桃、紅、白色の3種がある。9月に鉢植えしてフレーム内で栽培する。ブラジリエンシスO. brasiliensis Lodd.はブラジル原産で、寒さに比較的強く、露地植えも可能。秋に植えると5月ごろに1~2センチメートルの濃紫紅色花を開く。ヒルタO. hirta L.は南アフリカ原産の有茎種。秋に植え付け温室やフレーム内で栽培すると、11月から翌年の2月にかけて紅色花を開く。暖地では露地での越冬も可能。ボウイアーナO. bowieana Lodd.はケープ原産で、春に植え付けると、夏から秋にかけ花径2~3センチメートルの濃紅色花をつける。性質は強健で耐寒性も強い。マルチアーナO. debilis var. corymbosa (DC.) Lourteig(O. martiana Zucc.)は南アフリカ原産で、寒さに強く、春に植え付けると6~10月に桃色の小花を多数つける。ロバータO. lobata Simsはチリ原産で、寒さに強く、秋から翌年の春まで黄色花を開く。ディッペイO. deppei Lodd.はメキシコ原産で、小葉は4枚つき、その中央部に褐色の斑(ふ)が入る。

[平城好明 2020年5月19日]


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改訂新版 世界大百科事典 「オキザリス」の意味・わかりやすい解説

オキザリス
Oxalis

カタバミ科カタバミOxalis(英名wood sorrel,sorrel。sorrelはギシギシ属Rumexもさす)は世界各地に約300種が広く分布する草本植物であるが,そのなかで花が大きく観賞用に栽培されるものが,オキザリスの名で呼ばれることが多い。とくに球根性の種は耐寒性もあり,鉢植えや花壇の植込みにも多く用いられるようになった。これら球根性種で日本に栽植されているものには,次のような種がある。フヨウカタバミまたはアオイカタバミO.variabilis Jacq.は南アフリカのケープ原産で,ピンク,白,藤色などの大輪花を秋~冬に咲かせる。ハナカタバミO.bowieana Lodd.もケープ原産で,濃桃色の丸弁大輪花を秋に開く。ベニカタバミO.brasiliensis Lodd.は南アメリカのブラジル原産で,秋および春に紫紅色小輪花を咲かせ,耐寒性。ムラサキカタバミO.martiana Zucc.はブラジル原産で,初夏より秋にかけ桃色小花を咲かせ,各地に野生化し,始末の悪い雑草になっている。オオキバナカタバミO.cernua Thunb.はケープ原産。鮮黄色花で八重咲種もある。キダチハナカタバミO.hirta L.はケープ原産。木立性となり,秋に紫紅色の小花を腋生(えきせい)して咲かせる。このほかO.pentaphylla Sims.,O.deppei Lodd.などさまざまな種類がある。多くは夏植え球根草花として扱われ,耐寒性種は庭植えにもされる。非耐寒性種は冬季はフレームや屋内に入れる。ハナカタバミの球根は食用にされることもあり,いずれの種の球根もネズミの好物で,貯蔵にあたってはネズミに食べられないように注意する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オキザリス」の意味・わかりやすい解説

オキザリス
Oxalis; lady's sorrel; wood sorrel

カタバミ科オキザリス (カタバミ) 属の総称。一年草,多年草,亜低木などさまざまな種数が,全世界に約 800種分布する。特にアフリカと中南米に多い。日本に自生する野草のカタバミミヤマカタバミなども本属に含まれ,ムラサキカタバミのように南米から帰化し,雑草として広く定着しているものもある。花弁は5枚で基部は合着,葉はクローバーのような3小葉から,多数の小葉をつける掌状葉まである。しばしば地下に球根をもつ。直径2~3cmの桃色の花をつけるハナカタバミや,四つ葉のクローバーのような葉のオキザリス・デッペイ O.deppei,鮮かな黄花のオキザリス・ペスカプラエ O.pes-capraeなど,多くの種類が地植えや鉢植えで栽培されている。一般にじょうぶで,病虫害もなく育てやすい。十分な日照と水はけのよい土壌を好む。

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