ムラサキカタバミ(読み)むらさきかたばみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキカタバミ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキカタバミ
むらさきかたばみ / 紫酢漿草
[学] Oxalis debilis Kunth subsp. corymbosa (DC.) Lourteig
Oxalis corymbosa DC.

カタバミ科(APG分類:カタバミ科)の多年草地下褐色鱗片(りんぺん)に包まれた鱗茎があり、子球をつくり、よく繁殖する。葉は根生し、長さ10~25センチメートルの長柄の先に小葉をつける。花期は冬以外ほとんど年じゅうにわたり、花は淡紅紫色で径約2センチメートル、小花柄は1~3センチメートル。名は、全体がカタバミによく似るが、花色が紫色を帯びることによる。南アメリカ原産で畑や庭に普通に生え、世界に帰化する。

[小林純子 2020年5月19日]


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百科事典マイペディア 「ムラサキカタバミ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキカタバミ

南米原産のカタバミ科の多年草。江戸時代に観賞用として渡来。鱗茎は褐色で,多数の小鱗茎をつけ,よく繁殖。葉は根生し,ハート形の小葉3枚からなる。夏,葉間から花茎を出し,10個内外,径1.5cmの紅紫色花を開く。日本全土に野生化し,ときに畑の雑草となって害を与える。近縁のやはり南米原産のベニカタバミ,アフリカ原産のハナカタバミが観賞用に栽培される。
→関連項目カタバミ帰化植物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラサキカタバミ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキカタバミ
Oxalis corymbosa

カタバミ科の多年草。キキョウカタバミともいう。南アメリカ原産で,江戸時代に渡来し,初めは栽培されていたが,現在では関東地方以西の各地に帰化してやっかいな雑草の一つになっている。多くの小さい鱗茎を密集し,これによってふえる。葉はすべて根出葉で,長毛のある長い柄があり,3枚の倒心臓形の小葉から成る。小葉は長さ3~4cmの逆三角形状で濃緑色,質はやや厚い。夏に,葉よりも長い花茎を出し,淡紅色の5弁の美花を数個散形または複散形状につける。萼片は5枚で先端に2個の腺点があり,おしべは 10本あって長短が混る。

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世界大百科事典(旧版)内のムラサキカタバミの言及

【オキザリス】より

…ベニカタバミO.brasiliensis Lodd.は南アメリカのブラジル原産で,秋および春に紫紅色小輪花を咲かせ,耐寒性。ムラサキカタバミO.martiana Zucc.はブラジル原産で,初夏より秋にかけ桃色小花を咲かせ,各地に野生化し,始末の悪い雑草になっている。オオキバナカタバミO.cernua Thunb.はケープ原産。…

【カタバミ】より

…中国やインドで薬用にされ,植物体のしぼり汁はグラム陽性菌に対する殺菌作用があることが知られている。ムラサキカタバミO.martiana Zucc.は南アメリカ原産で,江戸時代に観賞用に栽培されたが,現在では畑の害草になっている。なお,日本ではカタバミがデザイン化されて紋様になっている。…

※「ムラサキカタバミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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