ドイツ・バイエルン州の州都ミュンヘンで開催される収穫祭。会場となるテレジエンウィーゼ広場Theresienwiese(テレーゼの緑地の意)にちなんだバイエルン地方の方言でウィーズンWiesnともよばれる。毎年9月なかばから10月の最初の週末までの16日間の会期中には、およそ600万人が会場を訪れ、700万リットルあまりのビールを消費するビールの祭典である。42ヘクタールの広大な会場には、地元醸造所が設営した各1万人あまりを収容できる巨大テント十数張(はり)をはじめ、ビールや伝統料理、郷土菓子、土産(みやげ)物を取り扱う大小のテントや移動遊園地などが多数設けられる。祭りはミュンヘン市長の「オーツァプフトイスO'zapft is」(ビールの樽(たる)が開いたぞ)という掛け声で始まる。
1810年にバイエルン王太子ルートウィヒ(後のバイエルン王ルートウィヒ1世)と妃テレーゼの結婚を祝う記念として催された競馬会でビールがふるまわれたのが始まりで、これが恒例となり、ビールや農作物への感謝祭として定着したと伝えられる。ドイツには、ビールの原料を麦芽、ホップ、酵母、水に限ることなどを定めたビール純粋令(1516年制定)があり、ビールは国民にとって特別な酒であるものの、健康志向によるビール離れや若者のアルコール離れが業界に深刻な影響を与えている。オクトーバーフェストにおいても、ワインやノンアルコールビールを提供するテントが登場している。
オクトーバーフェストをまねた、ドイツビールやドイツ料理を楽しむイベントは世界各地にあり、日本でも2003年(平成15)に横浜赤レンガ倉庫(神奈川県)で初めて日本版オクトーバーフェストが開かれた。その後、オクトーバーフェストやビアフェス(ビールフェスティバル)などとよばれるイベントが全国的に波及している。
[編集部]
(葛西奈津子 フリーランスライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…とりわけミュンヘンは,西ベルリンから移転したジーメンス会社(電機)を中心に州最大の工業都市へと発展した。同市のビールは〈オクトーバーフェストOktoberfest〉とともに名高い。風光明媚のアルプス山地,中世都市の面影を濃く残すロマンティッシェ・シュトラーセ,ルートウィヒ2世のノイシュワンシュタインNeuschwanstein城など,観光資源にも富む。…
※「オクトーバーフェスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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