オクラドニコフ(その他表記)Aleksei Pavlovich Okladnikov

改訂新版 世界大百科事典 「オクラドニコフ」の意味・わかりやすい解説

オクラドニコフ
Aleksei Pavlovich Okladnikov
生没年:1908-81

ソ連邦の考古学者。とくにシベリアモンゴルの考古学的研究に先駆的業績をあげた。東部シベリアの寒村に生まれ,イルクーツク教育大学を卒業後,レニングラードの国立物質文化史アカデミーで考古学者P.エフィメンコに師事した(1934-38)。レナ川,アンガラ川流域を手はじめに,アムール川流域,沿海州中央アジア,モンゴルなど広範な地域を調査し,50年には中央アジアでネアンデルタール人の遺跡テシク・タシ洞窟を発見した。また北方ユーラシア各地の先史文化の所産である岩面画の研究は彼の重要な業績の一つである。57年初めて来日,翌年石器時代の日本の文化について報告を発表したが,これは石器時代における日本とシベリアの関連を示唆した重要なものである。68年以後アカデミー正会員,1966年以後,ソ連科学アカデミー・シベリア支部(ノボシビルスク)の歴史・言語・哲学研究所長を務めた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクラドニコフ」の意味・わかりやすい解説

オクラドニコフ
おくらどにこふ
Алексей Павлович Окладников/Aleksey Pavlovich Okladnikov
(1908―1981)

ソ連の著名な考古学者。ことにシベリア全域の石器時代や青銅器時代の研究を精力的に推し進め、編年、系統関係、文化内容などを体系づけた業績は不滅のものである。シベリアに生まれシベリアをこよなく愛した。シベリアの代表的な後期旧石器時代の遺跡ブレチの調査や、テシュク・タッシュにおけるネアンデルタール人骨の発掘によって評価を得た。その後、バイカル沿岸やアムール地域の調査研究を集中的に成し遂げるかたわら、シベリアの岩壁画研究をライフワークにした。少なくとも著書は30冊、論文は600編を数える。科学アカデミー会員。同シベリア分院歴史・文献・哲学研究所長を務めた。

[大塚和義]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「オクラドニコフ」の解説

オクラドニコフ Okladnikov, Aleksey Pavlovich

1908-1981 ソ連の考古学者。
1908年10月3日生まれ。1950年ネアンデルタール人の遺跡テシク-タシ洞窟を発見。シベリア,モンゴルの考古学的研究で業績をあげた。昭和32年来日し,石器時代の日本の文化について報告した。享年73歳。シベリア出身。イルクーツク教育大卒。著作に「バイカル地方の新石器時代と青銅器時代」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オクラドニコフ」の意味・わかりやすい解説

オクラドニコフ
Okladnikov, Aleksei Pavlovich

[生]1908.10.3.
[没]1981
ソ連の考古学者。旧石器時代についての世界的権威者。 1966年以来ソ連科学アカデミー・シベリア支部 (ノボシビルスク) 歴史・哲学・言語学研究所所長。シベリアおよび中央アジアの旧石器時代遺跡を広く調査発掘し,著書,論文を多数出している。数回来日している。

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世界大百科事典(旧版)内のオクラドニコフの言及

【イサコボ文化】より

…A.P.オクラドニコフによって1950年に提唱されたバイカル地方新石器編年の第2期で,前4千年紀に比定される。アンガラ川右岸,イサコボIsakovo村から10.5km離れた段丘上の2基の墓を基準に命名された。…

【キトイ文化】より

…1950年に,A.P.オクラドニコフによって提唱されたバイカル地方新石器編年の第4期の文化で,前3千年紀後半~前2千年紀初頭に比定される。アンガラ川左岸支流,キトイKitoi河口左岸上にある墳墓群をもとに命名された。…

【グラスコーボ文化】より

…アンガラ川の支流イルクート川の河口,イルクーツク市郊外グラスコーボGlazkovo入江で最初に発見された墓から文化名が名づけられた。1887年に,ビトコフスキーN.I.Vitkovskiiによって初めて発掘が開始され,その後,調査はオフチンニコフM.P.Ovchinnikovによって続けられ,1934‐39年にはA.P.オクラドニコフによる調査が行われ,この文化は前1800‐前1300年と年代づけられた。金属器の出現によって特徴づけられ,それははじめ銅製であり,のち青銅製となる。…

【セロボ文化】より

…1950年に,A.P.オクラドニコフによって提唱された,ロシア・バイカル地方新石器編年の第3期で,前3千年紀と推定された。アンガラ川に注ぐザディルミ支流の入口,セロボSerovo村で発見された墓群をもとに命名された。…

【ヤクート族】より

…これはヤクート族形成の過程を反映している。ソ連の学者A.P.オクラドニコフは,ヤクート族の中核がバイカル湖付近に住んで牧畜に従事した骨利幹(クリカン)であって,14~15世紀にモンゴル族に圧迫されてレナ川中流部に移ったと主張している。1620‐30年ころロシア人がこの地方に進出し,ヤクート族にヤサク(毛皮税)を課した。…

※「オクラドニコフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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