六訂版 家庭医学大全科 の解説
オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッターびょう
Osgood-Schlatter's disease
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな障害か
発症のメカニズムは、
合併損傷
成長期終了後、脛骨粗面前方に
症状の現れ方
脛骨粗面の隆起、突出が認められ、その部位を押さえると激痛を生じます。走る、飛ぶ、蹴る、しゃがんで立つなどの動作中や動作後に脛骨粗面の痛みがあります。通常は片側の発症が多いのですが、両側に生じることもまれではありません。
検査と診断
スポーツで増悪する脛骨粗面の疼痛、圧痛、骨性の隆起があり、単純X線像側面で脛骨粗面の突出、不整、分離、小骨片などが認められること、MRIで脛骨粗面の浮腫や分離像が認められることで診断されます。
治療の方法
原則として保存治療が行われます。活動の制限、消炎鎮痛薬の使用、シュラッターバンド装着、大腿四頭筋とハムストリングスのストレッチなどが組み合わされて行われています。再発を繰り返すことも多いのですが、たいていの場合には成長期の終了と同時に治るので心配は要りません。
症状の程度とMRIの所見で、初期の場合にはストレッチと装具(シュラッターバンド)の併用でスポーツは禁止しません。進行期の場合にはジャンプやダッシュ、ボール蹴りの動作の制限を、進行の程度に応じて行います。
遊離小骨片があり、疼痛が強くて階段昇降が困難な場合は、骨端線閉鎖前でも骨片摘出手術を行うほうがスポーツへの復帰は早いと考えます。
応急処置や予防法はどうするか
局所のアイシングが大切です。予防のためには大腿四頭筋のストレッチ、シューズの底のクッション性をよくする、硬い床やアスファルト面の走行を減らすなどの工夫が必要です。ストレッチで症状が軽快しないときは、整形外科の受診がすすめられます。
関連項目
一戸 貞文
オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッターびょう
Osgood-Schlatter's disease
(子どもの病気)
どんな障害か
発育期(小学高学年~中学生)によく起こるけがです。ふともも前面の筋肉(
発育期には、この脛骨粗面に成長軟骨帯(関節近くにある軟骨で骨が伸びる部位)があり、前記の運動を繰り返すことにより、この部位に炎症が生じます。
症状の現れ方
脛骨粗面が突出し、その部位を押さえると痛みがあります。歩行ぐらいでは痛みはありませんが、スポーツをすると、その部位に痛みを生じます(図33)。
検査と診断
前記の症状とX線検査(脛骨粗面の不整像)にて診断をします(図34)。
治療の方法
歩行時にも痛みが強いような場合には痛みが軽減するまでスポーツを禁止しますが、通常は、運動前のストレッチング(主に大腿四頭筋)と運動後のアイシング(脛骨粗面の周囲を氷で10分程度冷やす)を十分に行い、スポーツ活動は症状に合わせて許可します。痛みが数カ月続きますが、保存的治療でほとんどが治ります。
ごくまれに、骨が遊離して、膝をついた時の脛骨粗面の痛みが強いため、手術により摘出術を行う場合があります。
障害に気づいたらどうする
整形外科専門医の診察を受け、X線検査などにより正確な診断をつけ、治療計画を立ててもらってください。
堀部 秀二
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報