日本大百科全書(ニッポニカ) 「オズボーン判決」の意味・わかりやすい解説
オズボーン判決
おずぼーんはんけつ
Osborne Judgment
1909年イギリスで、労働組合資金の政治目的への使用を違法とした裁判所判決。イギリスでは労働組合を主要基盤とする労働党が1906年の総選挙以来大きく進展したが、それがオズボーン判決の政治的背景をなした。07年末、鉄道従業員合同組合の一分会の書記で自由党員であるW・V・オズボーンが、「労働組合資金の政治目的への使用は、1876年労働組合法が規定する労働組合の目的外の行為だから違法である」と告訴した。原告は一審では敗訴したが、二審と最高審(1909年12月)で勝訴した。なお、1913年にはこの判決をくつがえす労働組合法が成立したが、この法律の下でも、政党への献金には組合員の投票が必要とされ、また献金に対する組合員個人の拒否権も認められた。
[富沢賢治]
『H・ペリング著、大前朔郎・大前真訳『イギリス労働組合運動史』新版(1982・東洋経済新報社)』