1945年に制定された日本で最初の労働組合法(以下労組法)で,警官,消防士,刑務所職員等を除くすべての者に団結権,団体交渉権,争議権を保障した。労働運動に対する保護助成策をもって日本民主化の一つの柱たらしめようとする占領軍の労働政策とこの法律は,よく合致していた。しかし,すでに46年には米ソ対立は深刻化しており,また中国情勢は急迫していた。こうした世界の情勢の中で国内の労働運動は史上初めて解放されたこと,激しいインフレと使用者の生産サボタージュとにより労働者の生活が急迫していたこと,民主化運動の一環として官僚らに対する戦争責任の追及がなされていたことなどの相乗効果によって,労働運動が前衛政党の指導の下に急進化していった。
占領軍では,労働運動の急進化はこのような国際情勢が背景にあると見ていたので,労働運動を危険視するようになった。このため占領軍は,一連の措置を講じつつ,徐々に労働法制の改変へと乗り出すことになった。労働法制の改変を概括的に示すと次のとおりである。
(1)労働関係調整法(1946公布)38条。これにより,警官,消防士,刑務所職員,行政および司法の事務に当たる者の争議行為が禁止された。(2)1948年の芦田均首相あてマッカーサー書簡に基づく政令201号および国家公務員法付則16条,これにより,公務員の争議行為が,国,地方公共団体を問わず全面的に禁止され,国家公務員に労働三法(労働組合法,労働関係調整法,労働基準法)が適用されなくなった。さらに,地方公務員についても,50年の地方公務員法58条により,労働組合法,労働関係調整法の適用は排除された。(3)マッカーサー書簡に基づいて1948年に公共企業体等労働関係法が制定され,国鉄および専売公社の職員に対する争議行為の禁止などが定められた。この法律は,52年に改正された新たに電電公社および郵政など五現業の職員が規制の対象となり,さらにこの法律の姉妹法として地方公営企業労働関係法が制定された。(4)1949年には労組法が全面的に改められて,現行法となった。
要するに,労働運動の急展開を見た占領軍は,一方で争議権の禁止を盛り込んだ法律を立法府に制定させて労働運動を鎮静せしめるとともに,労組法を改正して政党から一定の距離を保つ組合を育成してしようとした。こうして,労組法改正の要点は,組合の自主性(独立性)の確保であり,政党と組合幹部の連絡に組合員の意思をからませることによって幹部の独断専行を防止する組合内民主主義の徹底にあった,というべきであろう。一方,自主性と民主性を具備した組合に対しては,労働委員会をして救済に当たらしめる不当労働行為制度という特別助成策を与えることとした。
このようにして成立した労組法の目的は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進して労働者の地位を向上させること,労働者が労働条件について交渉するためにみずから代表者を選出することやその他の団体行動を行うため自主的に労働組合を組織し,団結することを擁護すること,使用者と労働者の関係を規律する労働協約(以下協約)を締結するための団交をすることおよびその手続を助成することである。労働者と使用者との個別交渉にゆだねていたのでは労働条件を維持改善することは不可能であるため,労働者を1個の集団(団体)へとまとめあげることによって労使の対等を維持し,そのうえでの交渉において条件を改善することができる。交渉の行詰りに際しては,労働者側が争議行為による圧力を加えて交渉を実質対等化できれば,その実現はいっそう容易なものとなる。もともと,憲法28条の団結権,団体交渉権,争議権(労働三権)の保障は,このような趣旨を含んでいる。労組法の目的は,この趣旨を明確化するとともに,不当労働行為に対する救済や労働争議の斡旋,調停,仲裁の手続をもうけることによって組合運動を助成することを明らかにしている。
組合を結成しこれに加入することは,団結権として保障されている。組合は永続的な使用者に対する対抗者として存在するから,その独立性も継続的に確保される必要がある。そのためには,組合は労働者が主体的かつ自主的に組織しなければならない。組合への不加入や脱退を働きかける使用者の行為は,組合の自主性への挑戦であるから,法律行為ならば当然無効となり,事実行為ならば不法行為を構成する(民法709条)ほか,妨害排除・予防請求権を組合に帰属せしめる。組合はその結成および運営に当たって,使用者から資金援助をうけてはならないし,使用者の利益代表者の参加を許してはならない。組合の自主性が阻害されるからである。しかし,組合の福利基金への使用者の寄付,最小限の広さの組合事務所の供与,労働時間中の協議,交渉出席者への賃金支給は,資金援助とは見なされない。使用者の利益代表者にしても,その職務と組合員としての責任とが両立しない者であるか否かを実質的に判断すべきである。もっぱら共済事業や政治運動を行う団体は組合でないが,組合が副次的にこれらを行うことを妨げるものではない(労働組合法2条)。
組合と使用者との団体交渉(以下団交)は,労使関係の核心に位置する。団交権の憲法上の保障により,組合には団交請求権がある。したがって,使用者の正当な理由のない団交拒否に対し,組合は使用者が団交に応ずべき地位にあることの確認を求める訴えを起こすことができるが,団交応諾仮処分の可否については争われている。
団交の対象となる事項は,当該労使関係に関わる事がらで使用者の専決事項でないものである。他の会社の問題は,団交事項でない。団交権保障の下では,使用者の専決事項はせばめられつつある。賃金,労働時間,休暇・休憩,労働災害補償,配置転換,出向,一時帰休,解雇,照明・換気,その他の労働条件が団交の対象となる。採用についても,組合がクローズド・ショップ(〈ショップ制〉の項参照)を求めたら,使用者は団交に応ずるほかない。新工場の建設や設備の導入についても,配置転換,社宅,作業手順の変更などに関連して団交事項となる。
団交は,相互に譲り合いながら妥協することにその本質がある。使用者の自説への固執は団交拒否と見られるし,組合のそれは団交打切りの理由となる。過大な要求であっても固執の意思なく団交の技術としてなされている場合は,打切りの理由とならない。使用者の監禁,つるし上げなどは,組合が使用者の自由な意思決定を阻害することになるから違法である。団交自体は強要でも威力業務妨害でもなく,また債務不履行でも不法行為でもない。この理は,憲法28条からみて当然であり,刑事免責(1条2項),民事免責(8条)の定めは,確認のための規定である。
協約上,唯一交渉団体約款,交渉委任禁止条項が存在することがある。使用者が,これにより新組合との団交を拒否したり,あるいは上部団体役員などの交渉権限を否定することがある。しかし,唯一交渉団体約款は他の組合の団交権の運命に影響を与えるものではなく,交渉委任禁止条項は交渉権限の委任(6条)を無に帰せしめるものではない。
団交の妥結は,通常,協約をもたらす。それは,書面化され両当事者が署名押印することによって効力を生じるが,3年を超える有効期間の定めを置くことはできない。
協約はさまざまな定めを含むが,労働条件その他労働者の待遇に関する基準を定める部分は,規範的効力を有する。したがって基準を下回る労働契約の定めは無効である。無効となった部分には,協約が直律的に適用される。また,協約には協約に反する内容の労働契約を結べない不可変的効力がある。協約を上回る労働契約の定めは,西ドイツでは有効である。これを,有利性原則という。日本でも同様かについて争いがある。既得権の保護のあることに注意しつつ,消極に解する。なお,協約の一般的拘束力および地域的・一般的拘束力(17,18条)は政策的創設規定である。
争議権の保障は,争議行為が正当なときには,使用者はそのこうむった損害の回復を訴求できず(8条),国も刑事罰をもって臨むことができない(1条2項)ことを意味する。したがって,争議行為の中心問題は正当性の判断にある。ストライキの正当なこと,怠業の正当なことについては,確立している。積極的サボタージュ,例えば,売れない商品をつくることや,開口サボタージュ,例えば,食堂従業員が調理場が不潔だと悪口をいうことは,正当性を失うことになろう(〈サボタージュ〉の項参照)。順法闘争にもさまざまなものがあるが,一斉休暇闘争についていうと,有給休暇請求権が組合の指令になじむかどうか疑問であり,当該請求権に関係ない争議行為と見るべきである。争議行為中にスト破りや脱落者または顧客に対する見張りや説得のためのピケッティングの正当性につき争いがあるが,諸般の事情を考慮して平和的説得およびプラスファクターの基準で処理すべきである。つまり,ピケッティングの基本を平和的説得にあると見るが,その相手方に関しては諸般の事情を考慮したプラスファクターとして団結による示威行為をもピケッティングの正当性の範囲に含ましめるのである。生産管理については,かつてその正当性が激しく争われた。生産管理が使用者の所有権を侵害せずに,単に経営についてだけに関わるもので,しかも生産者が生産サボタージュをしている場合には,正当である。この場合には,不退去罪にならず,民事仮処分上の被保全権利の存否は所有権の濫用の理論を当てはめることになろう。職場占拠は,一般的には使用者の所有権と両立しないと考える。刑事上・民事上,不退去罪および立退きが問題となる。不退去罪(刑法130条後段)については,しかし,成立が阻却される場合があり,立退きについては,被保全権利の存在を否定できないが,必要性の判断を介して立退きを認めないことができよう。ボイコットで単に製品不買を訴えるだけなら,違法の契機はないが,製品流通の末端である小売店において不買を訴える行為は不法行為となり正当でない。使用者のロックアウトは,防衛的になされる必要がある。ロックアウトの法律効果は,賃金支払を免れることにある。それは,部分ストや怠業に対して意味がある。
不当労働行為(労働組合法7,27条)の規定は,使用者による団結侵害行為を禁止し,このような行為があった場合には組合または労働者に対して行政上の救済を与える制度であり,既述の司法救済とはその範疇を異にする。どのような救済を与えるべきかについては,労働委員会が裁量権を有する。救済手続に参加できる組合は自主的かつ民主的組合であり,この資格要件は労働委員会の審査に服する(5条)。審査は自主性の要件に重点をおく審査で十分であり,かつ迅速救済の建前上,手続と併行して審査すべきものである。労働委員会の命令に不服な者は中央労働委員会に再審査を申し立てることができ,あるいは裁判所に命令取消しの行政訴訟を起こすことでできる。中央労働委員会の命令に対しても同様である。
使用者は,労働者が組合員であること,組合に加入しあるいはこれを結成しようとしたことを理由として,解雇,懲戒処分,配置転換,出向,昇給差別,昇格差別,一時金の低査定,忘年会などへの出席拒否などの不利益な取扱いをしてはならない。また,労働者が組合の正当な行為をしたことを理由として,同様な取扱いをしてはならない(7条1号)。ただし,団交が正当でないとか争議行為が正当でないからといって〈組合の正当な行為〉と判断されないわけではない。不当労働行為法上の正当な行為は,円滑な団交を確保するためには,使用者のとった措置が適当かどうかという観点から考察されるからである。したがって,組合員が組合活動で刑事罰をうけても,懲戒処分をすると不当労働行為になることがありうる。
使用者は,労働者が組合に加入せずもしくは組合から脱退することを雇用条件とする黄犬(おうけん)契約を労働者と結んではならず,黄犬契約は不当労働行為である。しかし,労働者が組合員であることを雇用条件とすることは禁止されていない。したがって,組合が過半数代表組合であるときには,使用者がそれとユニオン・ショップ協定を結ぶことは,不当労働行為とはならない(7条1号但書)。しかし,具体的場面でのユニオン・ショップ協定の締結や運用が,他の組合に対する不当労働行為となったり,当該労働者に対する不利益取扱いの不当労働行為になることがあることを否定できない。
使用者の正当理由を欠く団交拒否は,不当労働行為である(7条2号)。団交について述べた部分を参照されたい。
使用者は組合の結成や運営を支配しあるいはこれに介入してはならないし,運営のための経費の支払について援助を与えてはならない。これらは,支配介入の不当労働行為となる(7条3号)。使用者が組合を自己のコントロールの下に置こうとしたり,組合を切り崩そうとしたり,あるいは,組合の自主性を阻害しようとする行為がこれに当たる。また,不利益取扱いの場合にも,支配介入が肯定される。
労働者が不当労働行為の救済申立てをしたこと,労働委員会が申立てに係る調査や審問に労働者が証拠を提示したり発言したこと,さらに労働委員会が争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示したり発言したことを理由として,使用者が労働者に不利益な取扱いをすることも許されない。
不当労働行為の成立に際しては,使用者に不当労働行為意思の存することが必要と解されている。意思があればもちろん成立するが,たとえその意思がなくても成立する。不当行為的観点から不当労働行為を見るべきではない。
不利益取扱いの場合の救済は,解雇の場合には原職復帰とバックペイback pay(解雇が不当労働行為とされた場合,解雇時から原職復帰時までの労働者に対する賃金の遡及支払)を,配置転換などの場合には原職復帰を,昇給・昇格差別の場合には昇給・昇格したものとして扱えということをおのおの使用者に命令することになる。団交拒否の場合には,具体的事項について団交せよという命令である。支配介入の場合には,具体的侵害行為の中止を命じ,謝罪文の交付も命じられることが多い。不当労働行為と見られない場合には,棄却命令が出される。
労働委員会の救済命令に対して取消訴訟が提起された場合,裁判所は労働委員会の申立てにより,使用者に対して判決確定に至るまで救済命令の全部または一部に従うべきことを決定をもって命令することができる。これを緊急命令という(27条8項)。この命令に違反すると,使用者は10万円以下(ただし,作為命令のときは,不履行の日数1日につき10万円の割合で算定した金額)の過料に処せられる。なお,労働委員会は不当労働行為の審査だけでなく,労働争議の調整をも行う。
→労働関係調整法
執筆者:籾山 錚吾
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広義と狭義の「労働組合法」がある。
広義の労働組合法とは、労働組合の内部関係と対使用者関係に関する労働組合をめぐる法である。労働団体法、集団的労働法、労使関係法などとよばれることもある。日本で労働組合法といえば、1949年(昭和24)に制定された法律をさすが、労働組合に関する法は同法に限定されるわけではなく、労働関係調整法はもちろん、行政執行法人の労働関係に関する法律(行労法)、地方公営企業労働関係法(地公労法)、さらに国家公務員法、地方公務員法も公務員の集団的労働関係の法として、広義の労働組合法に含まれる。
[寺田 博]
狭義の労働組合法は、日本国憲法第28条で保障された団結権、団体交渉権、団体行動権の具体的内容を明らかにするとともに、労働組合の組織・内部運営、使用者による団結侵害行為の禁止とその救済、団結活動を通じて獲得した労働協約などについて規定した法律をいう。昭和24年法律第174号。略称、労組法。ここでは、この狭義の労働組合法としての日本の労働組合法について述べる。
[寺田 博]
第二次世界大戦前、1920年(大正9)ごろから労働運動の台頭を背景に農商務省、内務省が20近くの労働組合法案を作成し、政府も1926年と1931年(昭和6)に法案を議会に提出したが、資本家の強い反対によりいずれも日の目をみることはなかった。敗戦直後の1945年(昭和20)10月11日、GHQ(連合国最高司令部)は、(1)婦人の解放、(2)労働組合結成の促進、(3)学校教育の自由化、(4)専制政治からの解放、(5)経済の民主化、の五大改革を日本政府に指示した。「搾取と酷使から労働者を保護し且(か)つ生活水準の向上のため有力な発言権を得るための威信を獲得」するために労働組合結成を促す指示は、労働組合運動解放政策が日本の民主化政策の中軸に置かれていること、したがって占領政策が積極的に労働組合運動の保護助成に向かうことを予測させた。治安維持法、特別高等警察など労働組合活動を弾圧していた諸法令、制度も撤廃された。
政府は労務法制審議会を設置し、労働組合法案の作成を諮問、その答申に基づいて1945年12月に制定された旧労働組合法は、占領軍の強い指示のもとにありながらも、戦前の内務省社会局案を参照し独自に作成されたものである。「職業ノ種類ヲ問ハズ賃金、給料其(そ)ノ他之(これ)ニ準ズル収入ニ依(よ)リ生活スル者」すべてを労組法上の労働者としてとらえ、工・職・官公吏に等しく団結権、争議権を保障した点で社会局原案とは決定的に異なり、戦後の民主主義思想を反映した画期的なものであった。警察官、消防職員、監獄職員については例外的に団結禁止規定が置かれていたが、争議行為に対する刑事・民事免責を規定したほか、使用者による労働者の組合結成・加入や組合活動に対する不利益取扱い、黄犬(おうけん)契約を刑罰をもって禁止し、労働協約の規範的効力や一般的拘束力の制度を設けた。
1948年7月、占領政策の転換を背景に政令二〇一号が制定され、公務員の争議行為が全面的に禁止されて、団体交渉権に制限が加えられた。政令二〇一号は、同1948年12月の国家公務員法改正、公共企業体労働関係法の制定に引き継がれ、官公労働者の争議権が剥奪(はくだつ)された。これに伴い官公労働者に対する労働組合法の適用も排除もしくは縮小された。
1949年6月、旧労働組合法は全面的に改正される。その目的が、旧労組法の「団結権ノ保障及団体交渉権ノ保護助成ニ依リ労働者ノ地位ノ向上ヲ図リ経済ノ興隆ニ寄与スル」(1条)ことから、改正労組法の、「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」に改められたことに示されるように、改正の目的は、経営権の尊重を前提としたうえで、労働者と経営者間に団体交渉を主軸とする労使関係秩序を形成することにあった。こうして成立した現行法のおもな改正点は次のとおりである。(1)労働組合の「自主性」を強調することで、使用者の利益代表の範囲を拡大して資本の側に管理職グループを取り込み、会社の業務から組合を排除した。同様の理由で組合専従者の給与の会社負担を「経費援助」にあたるとして禁止した。(2)「民主性」確立を理由に組合規約の必要記載事項を詳細に規定し、組合の内部運営への法規制を強めるとともに、それに反する規約をもつ組合を「法外組合」として労組法・労働関係調整法上の一定の保護の付与を否定した。(3)組合活動を理由とする使用者による差別待遇に対する科罰主義を改め、原状回復主義を内容とする不当労働行為制度を導入した。(4)期限到来後の労働協約を一方当事者の意思表示によって解約できる道を開き、使用者はこれに基づき自動延長中の協約を解約し、一方的に人員整理を行うことができるようになった。労働組合は既得権の侵害、組合弾圧法として反対したが、同法は成立する。その後、部分的に改正されたが、定着し、現在に至っている。
[寺田 博]
労働組合法は、総則、労働組合、労働協約、労働委員会、罰則の5章からなる。その内容は次のとおりである。(1)労働組合による正当な争議行為・団体交渉その他の団結活動に対する刑事・民事上の免責を定める(1条2項・8条)。(2)労働組合の目的と「自主性」に関する要件を定め(2条)、組合の「民主的」運営を要求している(5条)。これらの条件に適合する組合を法内組合としてとらえ、不当労働行為があった場合、救済の申立てを行うことができる。(3)不当労働行為について詳細な規定を置いて団結権の具体的保障を図り、使用者に不当労働行為を禁止する(7条)。(4)労働協約の要件・有効期間や規範的効力・一般的拘束力制度を設ける(14条以下)。(5)争議調整・不当労働行為事件などの審査を担当する労働委員会の組織・権限を定める(19条以下)。
[寺田 博]
『東京大学労働法研究会編『注釈労働組合法』上下(1980、1982・有斐閣)』▽『西谷敏著『労働組合法』第2版(2006・有斐閣)』▽『西谷敏・道幸哲也・中窪裕也編『新基本法コンメンタール 労働組合法(別冊法学セミナー)』(2011・日本評論社)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
労働者の団結権・団体交渉権・争議権などを保障した法律。第2次大戦前の1931年(昭和6),政府提出の労働組合法が衆議院を通過したが,貴族院で審議未了で廃案となった。最初の労働組合法は,第2次大戦後のGHQの民主化政策の一環として,日本国憲法の制定より早い45年12月に制定された。その後の占領政策の転換もあり,48年7月の政令201号によって官公庁関係の労働者が特別法下におかれ,法自体も49年に不当労働行為制度や労働組合の自主性要件などが全面改正され,52年に手直しがされた。法の基本は,その後あまり変化はない。ただ第4章「労働委員会」は,公共企業体等労働関係法が,公社の民営化などにより国営企業労働関係法(87年),さらには国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律(99年)と改正されたことによる中労委の組織改編にともなっての改正がなされた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…まずイギリスでは団結禁止撤廃法(1824‐25)により労働者の組合加入の自由が認められ,その後19世紀末にかけての一連の法律により労働組合の法的地位が強化され,労働争議法(1906)により組合の争議に対する民事免責が認められるに至った。フランスでは1864年に法が団結禁止を撤廃し,次いで労働組合法(1884)が組合加入の自由を認め,またアメリカでは,ハント事件判決(1842)により組合の団体活動を刑事共謀であるとする判例法理が廃棄され,20世紀に入ってクレートン法(1914),およびノリス=ラ・ガーディア法(1932)により争議行為の民事免責が認められるに至る。一方,ドイツその他の西欧諸国でも,第1次大戦前後までには労働組合活動の自由が認められ,第2次大戦後までには,なんらかのかたちで争議行為の民事・刑事免責が与えられることになった。…
※「労働組合法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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