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行為能力 こういのうりょく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

行為能力
こういのうりょく

法律行為を単独で有効に行なうことのできる能力(法律上の資格)。意思能力のない者がなした法律行為は無効であるが,意思能力のない者が自分の行為の効力を否定するには,行為の当時に意思能力がなかった事実を証明しなければならず,それは困難なことが多い。また,意思能力のない者により行為の効力を否定されると,取り引きの相手方は不測の損害を被る。そこで民法は,意思能力のない者の保護を確実にするとともに,取り引きの安全を確保するために,意思能力が不完全な者を定型化し,画一的な判断基準として行為能力の制度を用意した。行為能力のない者が一定の財産行為につき単独でなした法律行為は,取り消すことができる。よって,取り消さなければ確定的にその法律行為は有効で,取り消せば遡及的に無効となる。民法上,未成年者成年被後見人(→成年後見制度),被保佐人(→保佐),被補助人(→補助)が制限行為能力者であり(5条1項,7,11,15条),それぞれ法定代理人(→法定代理親権者または後見人),または保佐人,補助人という保護者がつき,その保護者の代理または同意を得ないでした制限行為能力者の法律行為は,取り消すことができるものとされている(5条2項,9条,13条4項,17条4項)。(→後見

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百科事典マイペディアの解説

行為能力【こういのうりょく】

私法上,単独で有効に法律行為をなし得る能力。単に能力ともいう。自然人のうち意思能力がない者は全く行為能力がなく,その行為は無効であるが,民法は未成年者・成年被後見人・被保佐人を定型的に制限能力者とし,それらの者が単独でした法律行為は取り消すことができるとした(民法3条以下)。
→関連項目成年無能力者

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世界大百科事典 第2版の解説

こういのうりょく【行為能力 Geschäftfähigkeit[ドイツ]】

単独で財産上の法律行為をすることのできる能力。ふつうの成年者は行為能力をもち,自分が行った財産法上の法律行為につき絶対の責任を負わねばならない。ところが,未成年者,禁治産者準禁治産者の3者は,この能力を欠き,その財産管理のための保護機関を付されるとともに,彼ら自身がした法律行為を法律所定の範囲内では取り消して,当該行為の法的拘束力を免れることができる(民法4条2項,9条,12条3項,120条)。行為能力を欠くとされるこれら3類型の者は,いずれも継続して意思能力の不完全な者であり,財産取引関係において特別の保護を要する者なのだが,個別具体的な各場合ごとに意思無能力を立証することが事実上かなり困難だから,未成年または家庭裁判所による禁治産ないし準禁治産の宣告という画一的規準に従ってあらかじめ通常人から区別され,行為能力を欠くことを立証しさえすれば,当該の法律行為を取り消しうることになっているのである。

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大辞林 第三版の解説

こういのうりょく【行為能力】

民法上、有効な法律行為を単独でなしうる能力。 → 権利能力

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

行為能力
こういのうりょく

単独で確定的に有効な法律行為(法律上権利を取得し義務を負担する行為)をすることのできる能力。このような能力を完全に有しない者を制限行為能力者(制限能力者)という。自然人はすべて権利能力を有するから、原則として、単独で確定的に有効な法律行為ができてもよさそうである。しかし、法律行為という制度は自由な意思に基づく法律関係の形成を保護する制度であるから、自ら有効な法律行為を行うためには、自分の意思を外部に発表してその結果を予測し判断する知的能力が必要である。このような知的能力を意思能力といい、幼児や重い精神的疾患の者のように意思能力を欠いた者の行為は無効とされる。
 意思能力の有無は個別具体的に判断されるので、1999年改正前の民法では、知的能力を欠いているか、あるいは不十分な者を定型的に行為無能力者として保護を図る行為無能力者制度(禁治産・準禁治産制度)を設けていた。しかし、禁治産宣告を受けると戸籍簿に記載され社会的に負のイメージをもたれる、手続に費用と時間がかかり利用しにくい、後見人の権限濫用の危険が大きい、などさまざまな問題があった。そのため、1999年(平成11)12月に民法が改正され、判断能力を欠いている者、著しく不十分な者、あるいは不十分な者を制限能力者として、本人の自己決定権を尊重しつつ、成年後見人、保佐人あるいは補助人を選任して保護を図る制限能力者制度(成年後見制度)が導入された(2000年4月施行)。さらに、制限能力者の語は、2004年の改正により、制限行為能力者に改められた。
 制限行為能力者とは、未成年者(民法4条以下)、成年被後見人(同法7条以下)、被保佐人(同法11条以下)、被補助人(同法15条以下)の四者をさす。未成年者、被保佐人、被補助人が法律行為をするには、それぞれ法定代理人(親権者など)、保佐人、補助人の同意が必要である。また成年被後見人は、日用品の購入その他日常生活に関する行為以外は、自ら法律行為をすることができず、これらの者がそれぞれ単独で法律行為をしてもあとから取り消すことができるものとされている。[淡路剛久]

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