オナガシジミ(読み)おながしじみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナガシジミ」の意味・わかりやすい解説

オナガシジミ
Araragi enthea

鱗翅目シジミチョウ科。前翅長 17mm。翅表は黒褐色,裏面白色で黒色斑がある。後翅後角付近には黄褐色斑があり,糸状の尾状突起がある。色彩,斑紋とも雌雄の差はほとんどない。幼虫クルミ類の葉を食べる。成虫は7~8月頃山地のクルミの葉上にみられ,早朝と夕方に飛翔する。北海道,本州,四国,朝鮮,台湾,中国,アムールに分布する。近縁のミズイロオナガシジミ Antigius attiliaは,翅表は黒褐色で後翅外縁に白点があり,裏面は白色で黒褐色横条斑とその外側に同色斑紋があるが変異が多い。幼虫はクヌギコナラカシワなどの葉を食べる。成虫は6~8月に出現する。北海道,本州,四国,九州,中国,モンゴル,アムール,朝鮮,台湾に分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナガシジミ」の意味・わかりやすい解説

オナガシジミ
おながしじみ / 尾長小灰蝶
[学] Araragi enthea

昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。日本では北海道から九州に分布し、本州中部地方およびそれ以北の地域では山地のクルミ林にまれではないが、以南の地域ではその産地は限られる。外国では朝鮮半島、ロシア連邦の沿海州、中国、台湾(高地)に分布し、アジア東部の特産種。はねの開張30~35ミリメートル程度、はねの表面は黒褐色、裏面の地色灰白色で黒褐色のごまだら模様がある。後ろばねの尾状突起は長く、和名はこの特徴による。年1回の発生で、暖地では7月から、寒冷地では8月に入ってから現れる。幼虫の食草はオニグルミ。越冬態は卵である。

白水 隆]


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