オーガニック(読み)おーがにっく(英語表記)organic

翻訳|organic

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーガニック」の意味・わかりやすい解説

オーガニック
おーがにっく
organic

オーガニックとは、有機農産物およびその加工食品のこと。「有機」は生物体構成物質を意味するため、化学物質である農薬化学肥料を使用する現代農業に対してそれらを排除し環境に配慮するということから、「オーガニック(有機)」という語を使用するようになった。世界各国にはOCIA(オーガニック農作物改良協会)をはじめ、およそ300を超えるオーガニック認定機関があり、その機関が定める一定基準をみたしてつくられたものにオーガニックという表示をすることが認められる。各認定機関により基準は異なるが、「3年以上農薬、化学肥料を使用していない農場で栽培され収穫されたもの」「オーガニックの条件をみたした原料で、添加物などを使わずにつくられた加工品」「畜産物オーガニック農産物飼料によって飼育され、抗生物質ホルモン剤を使用していないもの」「栽培、加工、流通などすべての段階で、認証機関などの第三者が厳しくチェックしたもの」など一定基準がある。オーガニック食品は、農薬、抗生物質、成長ホルモン、合成添加物、保存料を使用せずに栽培または加工されたもので、そのために人体に有毒なものを含まず、安心して食べられる食品である。自然の生態系を尊重した農法を採用しているため、人体にだけでなく地球にもやさしい食品であるともいえる。日本でもオーガニックに対する関心が高まり、市場にはさまざまな基準によるオーガニック製品が並んでいたが、表示の適正化を図るため、農林水産省は1992年(平成4)に有機農産物などにかかわる「青果物等特別表示ガイドライン」を定めた。さらに96年にこれを改正し、農薬や化学肥料を使わない「有機農作物」と無・減農薬で栽培した「特別栽培農作物」の二つに分類した。これは不正な表示をしても罰則規制がないなど問題の多いものであったが、ついに2000年6月に改正JAS法(正式には「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律」)が施行され、厳しい品質基準をもつ有機食品の検査・認証制度が発足した。アメリカ合衆国では1990年に統一基準としてOEPA(オーガニック農産物食品生産法)が承認され、オーガニックとして表示できる農作物が定義されることになった。イギリス、ドイツ、オーストラリアなど計17か国には、オーガニック食品に関する法規制がある。世界規模での統一されたオーガニック基準を定め、それに基づいて各国政府が基準の整備や認定機関の許認可を行うといった国際的な動きもみられる。

[田中伶子]

『山口智洋著『オーガニック食品』(1996・日経BP社)』『『世界のオーガニック・基準ガイド集』(1996・オーガニックバンク)』

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