オーベール

百科事典マイペディア 「オーベール」の意味・わかりやすい解説

オーベール

フランス作曲家。幼時より作曲をよくし,ロンドン商業を学んだのち音楽の勉強に専念ケルビーニに師事し,オペラ・コミックオペラ)で成功。1823年からは台本作者A.E.スクリーブ〔1791-1861〕と組み,その作品は当時オペラ座オペラ・コミック座の人気演目となった。1842年−1870年,ケルビーニを継いでパリ音楽院(コンセルバトアール院長。フランスのグランド・オペラの幕開けを告げた《ポルティチの唖娘(別名マサニエロ)》(1828年),オペラ・コミック《フラ・ディアボロ》(1830年)など数多くのオペラ作品があるが,後者を除き今日上演の機会はほとんどない。

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改訂新版 世界大百科事典 「オーベール」の意味・わかりやすい解説

オーベール
Daniel François Esprit Auber
生没年:1782-1871

19世紀前半に活躍したフランスの作曲家。とりわけオペラ作家として,台本作者A.E.スクリーブの協力を得,王政復古期の趣味に投じた才気にとむ音楽を書いて,成功した。代表作とされるオペラ《ポルティチの啞娘(別名マサニエロ)》(1828)は,民衆を登場させた英雄主義的な一面が,ブリュッセル上演(1830)の際,オランダからのベルギー独立の気運に火をつけたという。オペラ・コミック《フラ・ディアボロ》(1830),《黒いドミノ》(1837)も有名。アカデミー会員(1829),宮廷楽団長(1839),師ケルビーニの後任としてパリ音楽院院長(1842)に任命された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーベール」の意味・わかりやすい解説

オーベール
おーべーる
Daniel François Esprit Auber
(1782―1871)

フランスの作曲家。最初ロッシーニや師のケルビーニの影響を受けるが、のちに台本作家スクリーブの協力を得て、19世紀フランス・オペラの黄金時代を築き上げた。彼の明るく機知に富んだ音楽は、とくにオペラ・コミックの分野で人気があり、「オペラ・コミックのプリンス」とよばれた。またパリ音楽院院長などの要職も務めている。代表作は『ポルティシの唖(おし)娘』(1828)、『フラ・ディアボロ』(1830)。

[関根敏子]

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「オーベール」の解説

オーベール

フランスの作曲家。商人としての教育を受けるためにロンドンに赴くが、同地で音楽に没頭し、いくつかの器楽曲を作曲している。1804年、パリに戻り、チェロ協奏曲やヴァイオリン協奏曲を作曲。1811年からオペ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオーベールの言及

【ベルギー独立戦争】より

…ところで29年以来の経済不況,凶作,産業革命による離職者の増大は,一般民衆の現体制への憎悪をつのらせていた。こうした中で七月革命の報がベルギーに伝わり,8月25日にブリュッセルのモネ劇場で上演されたオーベールのオペラ《ポルティチの啞娘》(17世紀にスペインの圧政に抗して立ち上がったナポリ人を題材としていた)でテノールが〈聖なる祖国愛〉と〈自由〉を歌うと,興奮した聴衆は外に飛び出し,オランダの駐在大臣の公邸やオランダ系の御用新聞社を襲った。この暴動はベルギーのワロン地方(南部のフランス語圏)に広がり,同時にフランスのリールからドイツのアーヘンまで,全土で機械打毀(うちこわ)し運動が荒れ狂った。…

※「オーベール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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