カイエンヌ(読み)かいえんぬ(英語表記)Cayenne

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイエンヌ」の意味・わかりやすい解説

カイエンヌ
Cayenne

フランス領ギアナ首都。南アメリカ北部大西洋岸,カイエンヌ川河口のカイエンヌ島北西端に位置する。 17世紀前半フランス人が建設。 1848年の奴隷制廃止後,労働力不足をきたしたため,それを一部補うためフランス本国から囚人が送られてくるようになり,その入植中心地となった市は「囚人の町」として知られるようになった。流刑植民地は 1944年閉鎖。フランス領ギアナ最大の都市で,人口の3分の1が集中。大西洋に臨む港湾都市として木材,ラム酒,金などを積み出す。また周辺に産するパイナップルサトウキビなどの集散地で,パイナップル缶詰工場があるほか,エビの缶詰・冷凍工場も立地。近郊にはフランス熱帯アメリカ研究所,パスツール研究所がある。沿岸道路により北西のサンローランデュマロニ南東のブラジル国境方面と結ばれるほか,近郊に国際空港がある。人口 6万500(2003推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイエンヌ」の意味・わかりやすい解説

カイエンヌ
かいえんぬ
Cayenne

南アメリカ北部、フランス領ギアナの首都。同地域の北東部、大西洋に面し、カイエンヌ川河口の同名の島に位置する港市。人口5万0594(1999)、5万7614(2015センサス)。1643年にフランス人によって建設され、ギアナにおけるフランスの基地として重視された。付近はコーヒー、ココアコショウ砂糖、米を産する農業地域で、それらの集散と、金、木材の輸出が行われる。卓越する北東風で夜は涼しく、気候はしのぎやすい。ヤシの種類を多く集めている植物園や博物館などは一見の価値がある。

[山本正三]

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