カギノテクラゲ(読み)かぎのてくらげ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カギノテクラゲ」の意味・わかりやすい解説

カギノテクラゲ
Gonionemus vertens

刺胞動物門ヒドロ虫綱淡水クラゲ目ハナガサクラゲ科。傘は直径 15mm,高さ 3mmの皿形で,寒天質は薄いがじょうぶである。傘の縁には 16~80本の細い褐色触手が並び,触手間には触手と同数平衡器がある。口柄は短く,4個の白い口唇をもつ。7~8月頃に北海道東北地方海岸ホンダワラの間に見られる。刺胞毒(→刺胞)が非常に強く,刺されると痛い。北太平洋北大西洋に広く分布する。(→クラゲ刺胞動物ヒドロ虫類無脊椎動物

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カギノテクラゲ」の意味・わかりやすい解説

カギノテクラゲ
かぎのてくらげ / 鉤手水母
[学] Gonionemus vertens

腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目ハナガサクラゲ科に属する海産動物。クラゲの傘は皿状ないし半球状で直径1.5~2センチメートル、傘縁に40~100本みられる触手はその先端近くで折れ曲がっており、そのためにこの名がある。放射管は4本、その全長に沿って生殖腺(せん)がひだをつくって発達する。口柄は短い。普通、浅海アジモの間などを泳いでいるが、ときどき触手の先端近くにある粘着細胞でアジモにくっついて静止するか、あるいはまた傘を下にして海底に休止する。触手、口柄、生殖腺は褐色。日本の各地沿岸のほか世界に広く分布する。北海道沿岸にみられるキタカギノテクラゲは本種の1変種とされるが、これは多少小形であり、また強い刺胞毒をもっている。ポリプ形はきわめて小形で退化したもので、普通肉眼では識別できないほどであるが、4~6本の触手をもち、単体である。その体上にクラゲ芽ができるほか、小さなプラヌラ様のものを無性的に芽出し、それは付着してまた新しいポリプとなる。

[山田真弓]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例