ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カギノテクラゲ」の意味・わかりやすい解説
カギノテクラゲ
Gonionemus vertens
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腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目ハナガサクラゲ科に属する海産動物。クラゲの傘は皿状ないし半球状で直径1.5~2センチメートル、傘縁に40~100本みられる触手はその先端近くで折れ曲がっており、そのためにこの名がある。放射管は4本、その全長に沿って生殖腺(せん)がひだをつくって発達する。口柄は短い。普通、浅海のアジモの間などを泳いでいるが、ときどき触手の先端近くにある粘着細胞でアジモにくっついて静止するか、あるいはまた傘を下にして海底に休止する。触手、口柄、生殖腺は褐色。日本の各地沿岸のほか世界に広く分布する。北海道沿岸にみられるキタカギノテクラゲは本種の1変種とされるが、これは多少小形であり、また強い刺胞毒をもっている。ポリプ形はきわめて小形で退化したもので、普通肉眼では識別できないほどであるが、4~6本の触手をもち、単体である。その体上にクラゲ芽ができるほか、小さなプラヌラ様のものを無性的に芽出し、それは付着してまた新しいポリプとなる。
[山田真弓]
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