日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシオ計算機」の意味・わかりやすい解説
カシオ計算機(株)
かしおけいさんき
日本の電子機器メーカー。電卓ではトップ・シェアを誇る。ほかにデジタル時計、電子手帳、電子辞書、情報機器などの各種電子機器を扱う。前身は1946年(昭和21)樫尾忠雄(かしおただお)(1917―93)が東京・三鷹(みたか)に創業した樫尾製作所。同所で小型電気式計算機「カシオ14-A」を開発し、その製造販売のため、1957年にカシオ計算機を設立した。1965年にはメモリー付き電子卓上計算機「001」を発売、これは1台数十万円の電卓で、もっぱら企業や官公庁に販売された。1972年に1万2800円の画期的低価格を実現した世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」を発売、販売累計600万台の爆発的ヒットを記録した。その後、計算機で培ったデジタル技術を生かし、1974年に電子腕時計「カシオトロン」を発売、量産によるコストダウンで、4年後には1万円を切る価格を実現した。1980年には電子楽器「カシオトーン」を、83年に液晶ポケットテレビを発売した。1995年(平成7)にはデジタルカメラの市販品「カシオQV-10」を発売。デジタル技術と独自の商品企画で新商品を提供し、電子文具、電子辞書、プリンター、携帯電話なども大きな柱となったほか、デバイス事業も重点的に展開している。資本金486億円(2008年3月)、売上高4566億円(2008年3月)、従業員数3162(2008年3月)。
[中村青志]
『カシオ計算機株式会社社史編纂室編『カシオ35年史――創造貢献の歴史』(1994・カシオ計算機)』