カッチーニ

百科事典マイペディア 「カッチーニ」の意味・わかりやすい解説

カッチーニ

イタリアの作曲家,歌手。ジューリオ・ロマーノとも呼ばれた。フィレンツェの〈カメラータ〉の一員で,オペラの誕生に貢献した音楽家の一人。1564年ころからフィレンツェのメディチ家に仕え,1580年ころからバルディ伯邸でカメラータの集まりを重ねた。1600年,O.リヌッチーニ〔1562-1621〕の詩による《エウリディーチェ》をペーリとともに作曲上演。また,単声のためのアリアマドリガルを収めた歌曲集《新音楽》(1602年)は,モノディ通奏低音伴奏をともない,レチタティーボ風に歌われる独唱曲)の様式確立した作品として,音楽史上きわめて重要。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッチーニ」の意味・わかりやすい解説

カッチーニ
かっちーに
Giulio Caccini
(1545ころ―1618)

オペラの誕生に貢献したイタリアの歌手、作曲家。ローマまたはチボリに生まれ、1564年ごろフィレンツェの宮廷歌手となる。79年と89年のメディチ家婚礼には幕間(まくあい)劇の上演に参加する。古代ギリシアの音楽を模範として新しい音楽様式の可能性を研究するグループ「カメラータ」camerataの一員として、ギリシア音楽劇の再生を試みる。1600年、マリ・ド・メディシスとフランス王アンリ4世の婚礼のために初演されたオペラ『エウリディーチェ』では、盟友ペーリに対抗し曲の一部を書き改め、その後全曲を完成させ、ペーリより先に出版した。歌曲集『新音楽』(1601)は、モノディ(レチタティーボ)様式による初期バロック音楽の貴重な証左である。

樋口隆一

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改訂新版 世界大百科事典 「カッチーニ」の意味・わかりやすい解説

カッチーニ
Giulio Caccini
生没年:1545ころ-1618

イタリアの作曲家兼歌手。フィレンツェのバルディ伯邸に集まり,史上初のオペラを模索,共作した新音楽運動の推進者の一人。とりわけ通奏低音つきの単声のアリアとマドリガルを収録した歌曲集《新音楽》(1602)は,17世紀初頭に起こった新しいモノディ様式の確立を代表する作品として音楽史に画期的な意義をもっている。流麗な旋律による歌曲《アマリリ麗し》は,今日なお広く愛唱されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カッチーニ」の意味・わかりやすい解説

カッチーニ
Caccini, Giulio

[生]1550頃.ローマ
[没]1618.12.10. フィレンツェ
イタリアの作曲家,歌手。オペラ創始期のモノディ様式を確立したカメラータの一人。 1600年に作曲された彼のオペラ『エウリディーチェ』 Euridiceは,J.ペーリの同名の作品とともに現存する最古のオペラである。単声のマドリガルとアリア集『新音楽』 Le Nuove Musiche (1602) を出版,モノディ様式の普及に貢献した。

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