オードブル(前菜)の一種で、語源はフランス語の長椅子(ながいす)からきている。長椅子のように長方形に切った食パンを、片面または両面をトーストしてバターを塗り、いろいろな食品を置いたり、塗ったりしたもの。
現在はパンの薄切りだけでなく、クラッカーやパイ皮の上にも応用される。オープン・サンドイッチと違う点は、角形、丸形、三角形など好みの形につくられ、一口で食べられるようにつくることである。初めは別室で食前酒を出すとき、軽いつまみものとして供されたが、カクテルパーティーや各種の会食などに、盛合せ前菜として用いられるようになってきた。用いられる材料には次のようなものがある。
(1)ペースト状にして用いるもの レバーペースト、ハムペースト、ブルーチーズなど。
(2)卵類 ゆで卵をみじん切り、輪切りなどにして手軽に用いられる。
(3)薄切りにして用いるもの ロースハム、エビ、サラミソーセージ、塩漬けの牛舌、鶏肉のロースト、からすみ、プロセスチーズなど。
(4)缶詰 キャビア、フォアグラ、イクラ、オイルサーディンなど。
以上のような材料を単独あるいは組み合わせて使うと、色調にも変化のあるカナッペができる。盛付けには大皿を用いて、配色よく盛り合わせる。カナッペの味をさらにいっそう引き立てるために、生セロリ、赤カブ、パセリ、クレソン、レタスなどを配色よくあしらうとよい。これらをカナッペに添えて食べると味に変化をつけるとともに、より優美な盛合せカナッペとなる。
[小林文子]
薄切りのパンにペーストを塗ったり,種々の材料をのせたもの。原語は〈長いす〉を意味するが,料理用語として用いられるようになったのは,パンがいすのように料理を上にのせることに由来するなどともいう。数種類を彩りよく盛り合わせてオードブルにしたり,カクテルパーティ用の軽い料理に用いたりする。食パンまたは黒パンを4~5mmの厚さに切り,上にのせる材料に応じて小型の正方形,長方形,ひし形,円形などにし,トーストにするか澄ましバターで揚げる。クラッカーやビスケットを用いてもよい。これに種々の風味をつけたバターやペーストを塗り,好みの材料をのせる。代表的な材料は,アンチョビー,キャビア,スモークサーモン,イクラ,オイルサーディン,ゆでたエビ,ゆで卵,チーズ,レバーペースト,レモン,パセリなどである。なお,フランス料理では野鳥類のローストを盛りつける時に用いるパン切れのことをもカナッペと呼ぶ。油で揚げるかトーストにし,内臓などを加えたペーストを塗り,ローストを盛りつける。
執筆者:辻 静雄
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