ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カバロ」の意味・わかりやすい解説
カバロ
Cavallo, Domingo
アルゼンチンの政治家,経済学者。フルネーム Domingo Felipe Cavallo。1968年公認会計士の資格を取得し,同年コルドバ大学で経済学の修士号,翌 1969年博士号を得た。1977年ハーバード大学で経済学博士号を取得。1969~84年コルドバ大学,1970~74年コルドバ・カトリック大学,1996~97年ニューヨーク大学で教鞭をとった。1982年アルゼンチン中央銀行総裁,1989~91年外務大臣,1991~96年経済大臣。1990年代初めにペソの対ドル固定相場制を導入し,急激なインフレーションを抑制,大規模な国営企業民営化計画も策定した。経済は回復したが,カバロは 1996年にメネム政権を去った。1997年に中道右派の共和国行動党を創設,初めて下院議員に当選した。2001年3月,フェルナンド・デラルア大統領がカバロを再び経済大臣に任命すると,経済を苦境から救える改革者として国民に迎え入れられた。アルゼンチン経済は 3年近く不況にあえぎ,失業率は 15%に達し多額の財政赤字を抱えていた。経済大臣に就任するやカバロは迅速に行動を起こし,財政立て直しのため増税と歳出削減を打ち出し,投資促進措置を講じた。しかし経済低迷から脱することはできず,国民の政府に対する信頼は大きく低下。アルゼンチンは対外債務 1320億ドルの債務不履行に陥り,2001年12月,デラルア大統領とともに辞任した。
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