西インド諸島のトリニダード島に発達した黒人の歌。その起源は西アフリカの労働歌にあるといわれる。歴史上の事件や日常のできごとをテーマにした歌詞をもち、ときには政治家や権力者を風刺して、ニュースを伝達する役割をも果たしていた。1920年代の末ごろから、同島の首府ポート・オブ・スペインでは、カーニバルの行事の一つに取り入れられ、カリプソ・テントの中で予選をパスしたカリプソニアン(カリプソ歌手)が即興で歌合戦を行い、優勝者には向こう1年間「キング・オブ・カリプソ」の称号が与えられた。第二次世界大戦中この島に基地を置いたアメリカ軍の将兵を通じてアメリカ合衆国に伝わり、44年『ラムとコカコーラ』がヒットした。さらに56年、ハリー・ベラフォンテがジャマイカの労働歌『デイ・オー』(バナナ・ボート・ソング)などをカリプソの名で発表して大成功を収め、リズム名として世界中に知れ渡った。
[永田文夫]
(1)ホメロスの『オデュッセイア』に登場する女神(またはニンフ)で、アトラスとプレイオネの娘。オーギギア島に住む。トロヤからの帰途難破して漂着したオデュッセウスに恋して7年間彼を引き留め、さらにこのまま島に滞在するならば不老不死の寿命を与えようと申し出るが、望郷の念に駆られるオデュッセウスはこれを拒絶する。ゼウスもまたヘルメスをカリプソのもとへ遣わしてオデュッセウスの出立を命じたため、カリプソはこれに従って十分準備を整え、オデュッセウスを送り出した。ホメロス以後の伝承では、彼女はオデュッセウスとの間にナウシトオスとナウシノオスの2人の息子をもうけたとされている。
[丹下和彦]
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…しかし,ボエジャーはさらに多くの衛星を発見または確認し(いくつかは地上で発見されていた),その総数は21~23となった。ボエジャーの確認した衛星のうち番号がつけられたのはXヤヌス,XIエピメテウス,XIIヘレーネ,XIIIテレスト,XIVカリプソ,XVアトラス,XVIプロメテウス,XVIIパンドラ,XVIIIパンの9個である。テレスト,カリプソはテチスと,ヘレーネはディオーネと同じ軌道上で60゜前と後のいわゆる三体問題の正三角形解に相当する場所(ラグランジュ点)に存在している。…
…ニューヨーク生れであるが,少年時代に4年ほど母親の故郷であるジャマイカで過ごした。演劇研究生,ジャズ・クラブ歌手を経て,1951年に民謡歌手としてデビュー,56年に出した3枚目のLP《カリプソCalypso》とその中の1曲《デイ・オーDay O》が大ヒットした。映画には54年から出演し,《拳銃の報酬Odds Against Tomorrow》(1959)では主演だけでなく製作をも手がけた。…
※「カリプソ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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