カリプソ(その他表記)calypso

デジタル大辞泉 「カリプソ」の意味・読み・例文・類語

カリプソ(calypso)

西インド諸島トリニダード島で発達した黒人の歌。ストーリー性のある歌詞を即興で作る。第二次大戦後、米国に持ち込まれて大流行し、二拍子リズムをもさすようになった。
(Calypso)
ギリシャ神話ニンフカリュプソーの英語名。
土星の第14衛星。1980年に発見。名はに由来。土星とテティスが形成するラグランジュポイントのうち、テティスの公転方向後ろ側に位置する。前側にはテレストがある。非球形で細長く長径は約30キロ、短径は約14キロ。

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精選版 日本国語大辞典 「カリプソ」の意味・読み・例文・類語

カリプソ

  1. 〘 名詞 〙 ( [スペイン語] calypso ) 西インド諸島トリニダード島の大衆音楽。四分の二拍子の軽快なリズムを持ち、しばしば時事的な題材がうたわれる。
    1. [初出の実例]「カリプソ・リズムにしろ、アメリカの流行歌にしろ」(出典:中間文化(1957)〈加藤秀俊〉一)

カリプソ

  1. ( [英語] Calypso ) 「カリュプソー」の英語名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリプソ」の意味・わかりやすい解説

カリプソ(歌)
かりぷそ
calypso

西インド諸島のトリニダード島に発達した黒人の歌。その起源は西アフリカ労働歌にあるといわれる。歴史上の事件や日常のできごとをテーマにした歌詞をもち、ときには政治家や権力者を風刺して、ニュースを伝達する役割をも果たしていた。1920年代の末ごろから、同島の首府ポート・オブ・スペインでは、カーニバルの行事の一つに取り入れられ、カリプソ・テントの中で予選をパスしたカリプソニアン(カリプソ歌手)が即興で歌合戦を行い、優勝者には向こう1年間「キング・オブ・カリプソ」の称号が与えられた。第二次世界大戦中この島に基地を置いたアメリカ軍の将兵を通じてアメリカ合衆国に伝わり、44年『ラムとコカコーラ』がヒットした。さらに56年、ハリー・ベラフォンテがジャマイカの労働歌『デイ・オー』(バナナ・ボート・ソング)などをカリプソの名で発表して大成功を収め、リズム名として世界中に知れ渡った。

[永田文夫]


カリプソ(女神)
かりぷそ
Kalypsō

(1)ホメロスの『オデュッセイア』に登場する女神(またはニンフ)で、アトラスプレイオネの娘。オーギギア島に住む。トロヤからの帰途難破して漂着したオデュッセウスに恋して7年間彼を引き留め、さらにこのまま島に滞在するならば不老不死の寿命を与えようと申し出るが、望郷の念に駆られるオデュッセウスはこれを拒絶する。ゼウスもまたヘルメスをカリプソのもとへ遣わしてオデュッセウスの出立を命じたため、カリプソはこれに従って十分準備を整え、オデュッセウスを送り出した。ホメロス以後の伝承では、彼女はオデュッセウスとの間にナウシトオスとナウシノオスの2人の息子をもうけたとされている。

(2)ギリシア神話で、オケアノスとテティスとの娘の1人。

[丹下和彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「カリプソ」の意味・わかりやすい解説

カリプソ
calypso

小アンティル諸島のトリニダード島で生まれた黒人の音楽。歌によって悪口や風刺をぶつけ合うアフリカの伝統をうけついで,鋭い批判をユーモアセンスで包んだ歌詞が最大の特徴。歌い方の巧拙よりも歌詞の諧謔性で評価され,2拍子のリズムで,自分で書いた歌を自分で歌うのが原則となっている。1920年ごろ今のような形が成立したと見られるが,第2次世界大戦後にアメリカでも知られ始め世界的に有名になった。
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百科事典マイペディア 「カリプソ」の意味・わかりやすい解説

カリプソ

西インド諸島のトリニダード島で生まれた大衆歌。アフリカの伝統をうけついで,町の噂や時の話題などを鋭く批判しながらユーモアのセンスをもって歌う。歌詞の諧謔性で評価され,自分で作った歌詞を2拍子のリズムでスティール・バンドの伴奏で歌うことが多い。毎年のカーニバルのコンテストで腕前を競う。1920年ごろに成立。1940年代半ば以降米国で流行,1956年ハリー・ベラフォンテレコードで世界的に流行。1950年代半ば以降は歌唱力を効かせたものが主流。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリプソ」の意味・わかりやすい解説

カリプソ
calypso

トリニダード島から起った謝肉祭の歌。マラカス,ギター,太鼓などの伴奏で,スペイン語,フランス語,およびアフリカの諸言語などの交った即興的な歌を単純な旋律とオフ・ビートのリズムで歌うもので,1950~60年代に世界的に流行した。

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音楽用語ダス 「カリプソ」の解説

カリプソ[calypso]

トリニダード島発祥の労働歌。もとはアフリカからの奴隷たちによって歌われたヘビーな物語歌だが、アメリカでポップスに取り入れられ、ラテン・ミュージックのひとつとして普及した。陽気な2/4拍子のリズムが特徴。

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デジタル大辞泉プラス 「カリプソ」の解説

カリプソ

米国の作家エド・マクベインの警察小説(1979)。原題《Calypso》。「87分署」シリーズ。

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世界大百科事典(旧版)内のカリプソの言及

【土星】より

…しかし,ボエジャーはさらに多くの衛星を発見または確認し(いくつかは地上で発見されていた),その総数は21~23となった。ボエジャーの確認した衛星のうち番号がつけられたのはXヤヌス,XIエピメテウス,XIIヘレーネ,XIIIテレスト,XIVカリプソ,XVアトラス,XVIプロメテウス,XVIIパンドラ,XVIIIパンの9個である。テレスト,カリプソはテチスと,ヘレーネはディオーネと同じ軌道上で60゜前と後のいわゆる三体問題の正三角形解に相当する場所(ラグランジュ点)に存在している。…

【ベラフォンテ】より

…ニューヨーク生れであるが,少年時代に4年ほど母親の故郷であるジャマイカで過ごした。演劇研究生,ジャズ・クラブ歌手を経て,1951年に民謡歌手としてデビュー,56年に出した3枚目のLP《カリプソCalypso》とその中の1曲《デイ・オーDay O》が大ヒットした。映画には54年から出演し,《拳銃の報酬Odds Against Tomorrow》(1959)では主演だけでなく製作をも手がけた。…

※「カリプソ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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