かるみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「かるみ」の意味・わかりやすい解説

かるみ

松尾芭蕉晩年作風を表わす言葉。高い詩精神と,民衆詩としての通俗性とを融合しようとした風潮森川許六 (きょりく) の『青根が峰』 (1785) に「軽きといふは発句も付句も求めずして直に見るがごときをいふ也。言葉の容易なる,趣向の軽き事をいふにあらず。腸 (はらわた) の厚き所より出て,一句の上に自然にあることをいふ也」と説明されている。詩心は高くもち,表現は平明にということになる。初期の高踏的,古典的な傾向から変遷を重ねたもので,庶民的な日常身辺の属目 (しょくもく) の景を軽くとらえて,詩情を具象化するところにみられる。『俳諧七部集』のうち『炭俵』『続猿蓑 (さるみの) 』の風がそれに該当。句としては「梅が香にのつと日の出山路かな」「ひやひやと壁をふまへて昼寝かな」などがあたる。

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百科事典マイペディア 「かるみ」の意味・わかりやすい解説

かるみ

連歌論・俳論における術語。句の表現としては,対象に素直に接することから生まれる平明さや印象の明瞭さ,理屈を離れた無作為な詠みぶり,また,付合(つけあい)技法としては疎句付の重視特徴とする。あるいは,そうした句を生み出す作者の心理状態を指す場合もある。円熟期の芭蕉が積極的に唱え,今日でも俳文芸にとって一つ理想とされている。

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