ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワゴンドウ」の意味・わかりやすい解説
カワゴンドウ
Orcaella brevirostris; Irrawaddy dolphin
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歯クジラ亜目マイルカ科の哺乳類。ベンガル湾から北オーストラリア,インドネシア,インドシナ半島などの沿岸や河川に生息する丸い大きな頭をもつ小型イルカ。イラワジ川やメコン川,マハカム川などでは河口から500~1000km上流にまで分布し,その場所で一生を終えるらしい。体長2~2.2m。背面青黒色で,体側は淡く,腹面は白い。背びれは小さく低いが,胸びれは大きい。歯は上下左右それぞれ12~17本ある。7個の頸椎が全部遊離している点は原始的な特徴である。本種はシロイルカに近い種とする考えもあったが,今では否定されている。飼育記録によれば,5月に交尾し7月初めに96cmの子を正常出産した。子は7ヵ月で餌を食べ始めた。自然では3~10頭の群れをなし,主として魚を食べるが,甲殻類も捕食するといわれる。イラワジ川の漁夫は,本種は漁を助けると信じ,殺すのを好まない。インドネシアやラオスでも民俗信仰により保護されている。
執筆者:粕谷 俊雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱クジラ目カワゴンドウ科に属する小形ハクジラ。イラワジイルカともいう。ベンガル湾からニューギニア、インドネシアにかけての熱帯、亜熱帯の沿岸や河口域にすむ。大きな河川にもさかのぼる。体長2メートルぐらいで、頭部に吻(ふん)がなく皮膚は柔らかい。全身灰色で斑紋(はんもん)がなく、腹側は淡い。スナメリに似ているが、本種には背びれがある。各列十数本の小さい歯をもち、小魚を食べる。ボルネオ産の本種数頭をジャカルタ水族館で飼育し繁殖に成功している。
[西脇昌治]
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