シロイルカ(読み)しろいるか(英語表記)beluga

翻訳|beluga

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロイルカ」の意味・わかりやすい解説

シロイルカ
Delphinapterus leucas; white whale

クジラ目ハクジラ亜目イッカク科シロイルカ属。別称ベルーガ。かん高い鳴き声を発することから海のカナリアとも称される。体長は雄約 5.5m以下,雌約 4.1m以下。体重は最大約 1.6tに達する。出生体長は約 1.6m。体色は年齢とともに変化する。幼鯨は藍ねずみ色で濃く細かい斑紋があるが,のち斑紋は灰黄色となり,性的成熟に達する頃には全身白色となる。成鯨は白っぽい象牙色。頭部は丸く口は大きい。嘴 (くちばし) はない。頸部は明瞭で,頸椎骨が遊離しているので頭部を左右に振ることができる。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。背鰭 (せびれ) はないが,背部中央に長さ約 1mの隆起があり,尾鰭中央に向ってキール (稜線) をなす。胸鰭はうちわ状で丸い。歯は上下ともに左右8~10対あり,歯の直径は 8mm程度。 15頭前後の群れをなすことが多いが,ときおり 100頭以上の群れをなす。通常動きは緩慢であるが,夏季は河口に集り活発に行動する。繁殖期は4~8月。おもに底生魚類を食するが,イカ類やズワイガニ等の大型甲殻類も捕食する。北極圏と亜北極域に広く分布する。沿岸に生息するがときには外洋や河口にも出現する。皮は上質で靴や書物背表紙に使われる。本種の鯨油は非常に高価である。北極地方では肉や脂皮が食料として貴重。石油や天然ガス資源の開発によって生態に及ぼされる影響が懸念されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロイルカ」の意味・わかりやすい解説

シロイルカ
しろいるか / 白海豚
beluga
white whale
[学] Delphinapterus leucas

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目イッカク科のハクジラ。別名シロクジラ。北極海、ベーリング海、カナダ北部海域など北方の寒海にのみ生息する。日本沿岸では1979年(昭和54)日本海の若狭(わかさ)湾付近で1頭が採集されたことがある。体長は約5メートル。体色は、幼体では青みがかったねずみ色であるが、成体になると全身白色となる。頭は丸く、くちばしはない。歯は上下のあごの左右各列8~10本ある。体は柔軟で、とくに頭部と胸びれがよく動く。高く澄んだ鳴き声をよくたてる。夏の繁殖期には100頭以上の群れをつくる。食物はイカ、カニ、魚類などである。水族館での飼育は容易で多くの芸も覚える。

[鳥羽山照夫]


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