改訂新版 世界大百科事典 「カンチク」の意味・わかりやすい解説
カンチク
Chimonobambusa marmorea(Mitf.)Makino
生垣にしたり,庭に植えたりする小型の竹類で,イネ科に入る。横にはった根茎から稈(かん)が群生し,高さは3m,直径は2cmに達し,節はやや太い。〈寒竹〉という名は旧暦の寒中にたけのこが出るという意味である。秋にたけのこが出て伸長し,翌年の初夏に稈が分枝する。竹の皮は長さ20cmに達し,1年くらい残存する。枝は1節に数本出る。葉は枝の先に3~4枚ずつつき,長さ10cmくらいの披針形で,毛はない。ときどき開花し,小穂は長さ4~8cmの線形で,紫色を帯び,長さ1cmくらいの小花がまばらに互生する。九州に野生するともいわれるが,本来の野生か否かはっきりしない。本州以南の暖地に栽培され,たけのこは食用にしうる。
カンチク属にはシカクダケC.quadrangularis (Frenzi)Makinoほか約15種が中国南部から東南アジア方面に知られ,中国四川省特産のシカクダケの一種金仏山方竹C.utilis Keng f.のたけのこはとくに美味である。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報