日中戦争や太平洋戦争で戦没した日本の学生たちの手記を集めた遺稿集。1949年に東京大学消費生活協同組合出版部(当時)から初版が発行された。家族への愛や戦争への疑問、軍部批判や日本国民の責任にも触れられている。その後、複数の出版社から刊行され、改訂や増補が重ねられた。海外でも翻訳され、2度映画化。戦後の平和運動の源泉となった。63年の「戦没学生の遺書にみる15年戦争」が「第二集 きけ わだつみのこえ」と改題され、現在は、それぞれ岩波文庫で普及している。「わだつみ」は海の意味。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
第二次世界大戦の戦没学生75名の遺稿集。1949年(昭和24)10月、日本戦没学生手記編集委員会編で、東京大学協同組合出版部刊行。全国の各大学、高等専門学校から公募したもので、ここにつづられた戦争の苦しみ、青年学徒の若い人間的な悲痛の声は全国民の心を深くとらえて、ロングセラーとなった。「わだつみの悲劇を繰り返すな」は若い世代の平和を願う合いことばとなり、おりからの朝鮮戦争を背景に日本戦没学生記念会(通称わだつみ会)が生まれた。映画化(1950、関川秀雄監督)の反響も大きく、諸外国への翻訳紹介も進み、59年同記念会の手で新版と第2集が刊行された。1943年(昭和18)12月の「学徒出陣」の痛恨と平和の誓いを新たにする「不戦の集い」も本書を中心に同会が運動を推進してきた。以来、戦争体験の悲惨を若い世代に正しく伝えようとするこの種の運動と出版は広くさまざまな形で行われるようになり、本書はその原点ともいえるものである。
[山下 肇]
『『きけわだつみのこえ』(光文社・カッパブックス/岩波文庫)』
…こうして徴兵された学徒兵のなかには,青春を戦火に散らし,二度と還らなかった者も多い。そうした戦没学生の手記《きけわだつみのこえ》(1949刊)は戦後大きな反響を呼んだ。勤労動員【粟屋 憲太郎】。…
…1947年に東京大学協同組合が第2次世界大戦中の東京大学出身の戦没者の手記を集めて出版した《はるかなる山河に》が大きな反響を呼んだ。ついで全国の戦没学生の手記を集めた《きけわだつみのこえ》(1949)を出版した。これらの出版を契機としてわだつみ会は50年に創立され,各地の大学に支部が設けられ,学生による反戦・平和運動団体として活動したが,58年に日本共産党内部の国際派と主流派の対立のあおりを受けて解散した。…
※「きけわだつみのこえ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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