キノー(読み)きのー(英語表記)Philippe Quinault

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キノー」の意味・わかりやすい解説

キノー
Quinault, Philippe

[生]1635.6.4. パリ
[没]1688.11.26. パリ
フランス詩人劇作家。幼い頃から詩人トリスタン・レルミットの召使となり,また法律も学ぶが演劇に興味をもち,第1作で早くも好評を博した。喜劇悲劇などの作品を数多く発表したが,いずれも平凡の域を出ず,モリエールにすすめられ抒情悲劇の創作に転向する。 1673年以後作曲家リュリと組み,オペラ『アルセスト』 Alceste (1674) ,『プロゼルピナ』 Proserpina (80) ,傑作といわれる『アルミッド』 Armide (86) を世に出した。悲劇作家としては凡庸であったが,大がかりな舞台装置,機械仕掛け,ダンスを使用したオペラの真の創始者として名をとどめている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キノー」の意味・わかりやすい解説

キノー
きのー
Philippe Quinault
(1635―1688)

フランスの劇詩人。初めロマネスクな悲喜劇、悲劇を気どった文体で書いて好評を博した。悲劇『アストラート王』、喜劇『浮気な母親』(ともに1665)はとくに成功を収めたが、やがてオペラに転じ、作曲家リュリに数々の脚本を提供しフランス・オペラに一つの型をつくった。オペラ台本の代表作に『アルセスト』(1674)、『アルミード』(1685)などがある。

伊藤 洋]

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