日本大百科全書(ニッポニカ) 「キビナゴ」の意味・わかりやすい解説
キビナゴ
きびなご / 吉備奈仔
banded blue-sprat
[学] Spratelloides gracilis
硬骨魚綱ニシン目ニシン科に属する海水魚。本州中部以南、朝鮮半島、台湾など熱帯海域に分布する。体は円筒形で細長く、背側は淡青色、腹は白色で、体側に幅広い銀白色の縦帯がある。全長10センチメートルに達し、5~6月ごろの産卵期には大群をなして海岸へ接近する。卵は沈性粘着卵。本種は地域性の魚で、沿岸各地で小型巻網、敷網、地引網などによって漁獲される。
[浅見忠彦]
料理
広い意味ではイワシの仲間である。本州太平洋側の中部地方以南から九州にかけてとれるが、鮮度がたいへん落ちやすいので、新鮮なうちに食用とする必要がある。
骨を手ですき取り、新鮮な身を酢に浸し、よく冷やして食べると味がよい。刺身には酢みそや酢じょうゆを添える。そのほか、すし、鍋物(なべもの)、和(あ)え物、てんぷらにもよい。煮干しにもされるが、これは「きびないりこ」とよび、上等品である。だしに使うよりも、おろし和えや酢の物など、料理の材料としてよく利用される。