翻訳|brocade
畝織(うねおり)か経繻子(たてしゆす)地に,2色以上の緯の浮文様を織り出した絹織物の総称で,繻珍(しゆちん)などに類するものである。この種の織物では,1種の経糸と2種の緯糸を用い,うち1種の緯糸は文部では表に浮いて文様を表し,地部では地緯となって経糸と地組織を作っている。また他の1種の緯糸は緯の浮文の下で経糸と緯畝織を作り,地部では前の緯糸と同様,経糸と地組織を作っている。2種の緯糸は文部で同じ杼口(ひぐち)に入って文様の一部を構成することが多い。このように2種の緯糸はいずれも地と文をつくる地上げ緯である。一方,ブロケードの語をこのように限定された織物でなく,豪華な文様を表した織物の総称の意味で用いることも多い。とくに金銀糸入りの紋織物を意味する場合もある。一般に地厚,装飾的で,家具やカーテンなどのインテリア,衣服等に用いられてきた。16世紀ころからサファビー朝(イラン),オスマン・トルコ,フランス,イタリア,スペインなどで,このような紋織物が盛んに製作された。
執筆者:道明 三保子
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平織・綾(あや)織、または朱子(しゅす)織の地に、多彩色の絵緯(えぬき)、ときには金銀糸を使い、豪華な草花や風景などの模様を織り出した絹織物、あるいは類似した化合繊の織物の総称。ブロケードの地の組織と模様の組織方法に多くの種類があり、限定した組織をさしていないのは、通称名として使われているためである。用途は、ドレス、スーツ、室内装飾など。
[角山幸洋]
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…イスラム時代になってもこれらの技術が受け継がれたが,11~12世紀ころには,風通(二重織)が見られるようになった。織物の最盛期はサファビー朝(1501‐1736)で,この時期には部分的に色緯糸を使って浮き文様を織り出すブロケードや,深紅色や金銀糸を駆使したビロードなどの紋織物の技術が完成した。 イランではイスラム初期には,円文のなかで向かい合う対称形の動物文を配すササン朝以来の文様構成の織物を織っていた。…
…また現代でもインドネシアの島々では,素朴ないざり機(地機)による平織地の種々の縫取織がつくられている。一方,ヨーロッパで〈ブロケード〉と称される紋織物は,ほとんどが縫取織によるものをさし,材質,地合にかかわらず各種のものがつくられている。日本ではこの技法による精巧な絹の紋織物に,唐織,厚板,縫紗,二倍(ふたえ)織物などがある。…
※「ブロケード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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