ギース(読み)ぎーす(英語表記)Constantin Guys

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギース」の意味・わかりやすい解説

ギース
ぎーす
Constantin Guys
(1802―1892)

フランスの画家オランダフリシンゲンに生まれる。生い立ちについては正確には不明。青年期、ギリシアの独立戦争に参加、ついでフランス竜騎兵連隊に勤務。除隊後ロンドンに行く。1828年『イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ』の創設に参加、その後、同紙のために働く。1848年の革命時のニュースをはじめ、その後の各地の旅行で得たスケッチを同紙の挿絵として送り続ける。クリミア戦争にも取材。ロンドンやパリの都市生活、娼婦(しょうふ)、社交界ペストの流行など、あらゆる現代生活を、素描水彩で生き生きととらえる彼の作品は、ボードレールに称揚され、『現代生活の画家』(1863)で取り上げられ、印象派の画家にも影響を与えた。

中山公男

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改訂新版 世界大百科事典 「ギース」の意味・わかりやすい解説

ギース
Constantin Guys
生没年:1805-92

フランスの水彩画家,挿絵画家。オランダのフレッシンゲンに生まれる。18歳の時,G.G.バイロンのギリシア独立戦争義勇軍に参加し,次いでフランス竜騎兵隊に加わってヨーロッパ各地やオリエントに足をのばし,クリミア戦争に際しては《イラストレーテッド・ロンドン・ニューズ》の従軍記者として,戦争や異国情景の挿絵を手がける。イギリスの水彩画家ガーティンから影響を受けた軽く素早いタッチは,友人の写真家ナダールをして〈われわれより前に早焼写真instantanéを発明した〉と言わしめ,C.ボードレールは,流行の服の男女,娼家,ロンドン生活など,現代風俗をとらえる洒脱な感覚をたたえて,《現代風俗の画家Le peintre de la vie moderne》(1863)という題名のギース論を著した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギース」の意味・わかりやすい解説

ギース
Guys, Constantin

[生]1802/1805. ブリシンゲン
[没]1892.12.13. パリ
オランダ生れのフランスの画家。ジャーナリスティックな漫画家,コミック挿絵画家として有名。本名は Ernest Adolphe Hyacinthe Guys。少年時代ギリシアの独立戦争に従軍。 1840年代後半から『イラストレーテッド・ロンドン・ニューズ』の特派員として,フランス革命やクリミア戦争,あるいはスペイン,イタリアなどで旅行者を取材したスケッチを制作。それらは職人によって版画にされ,同紙に掲載された。 60年頃パリに帰り,第2帝政時代の上流,下層の社会風俗を軽妙なタッチで描写。ボードレールによって「近代生活の画家」と評された。

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