改訂新版 世界大百科事典 「クビキリギス」の意味・わかりやすい解説
クビキリギス
Euconocephalus thunbergi
直翅目キリギリス科の昆虫。頭の先が円錐形にとがる中型で細身のキリギリスの仲間。5月ころの蒸し暑い日の夜,ジーンと鳴き出し,その鳴声は遠くからでもよく聞こえる。子どもはこの虫をとらえ,着物などにかみつかせて遊ぶ。かみついたとき引っぱると,首がちぎれても離さないところから,〈クビキリ〉の名がでた。本州以南に分布し,草の間にすむ。体長35mm内外,翅端までは60mm内外。緑色型と褐色型の2型があり,ときに紅褐色のものも見られる。頭部は円錐形,複眼は小さく楕円形。前翅は長く,45mm内外。産卵管は基部付近がやや狭まる剣状で長い。夏季の間は幼虫で,10月ころに成虫となり,そのまま草間で越冬し,翌年6~7月ころまで生き続ける。鳴くのは5月ころから7月までの間。近似種に本州以南の暖地にすみ,体長も同じくらいのオガサワラクビキリギスE.pallidusがある。
執筆者:山崎 柄根
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報